上海の新車ナンバー、120万円に高騰のナゾ ナンバー価格高騰の「主犯」は誰か?

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しかし昨年11月、共産党総書記に就任した習近平氏は役人の腐敗蔓延に強い危機感を持ち、汚職撲滅、特権打破の大々的なキャンペーンを始めた。昨年11月17日に開かれた党政治局学習会では「腐敗がこれ以上激しくなれば党が滅びる」との危機感を表明している。

公用車の濫用問題は市民の目につきやすく、反感を買いやすい問題だけに、同政権の反腐敗運動の目玉の一つとして公用車の管理厳格化が取り上げられていた。12月初旬、習氏が深セン経済特区を視察した際には、黒塗りの公用車に乗らず、大型バスの窓から市民に手を振るパフォーマンスを見せた。

今回のナンバー価格の急上昇と公用車の管理厳格化を結び付ける明確な証拠はないが、一部メディアや関係者のブログなどでは「役所が公用車を削減する代わりに自家用車の購入補助を導入した」とか「ナンバーの落札価格を公費で補助している」といった話や「今年に入って公務員の自家用車購入が急に増えている」といった自動車ディーラーのコメントなどが伝わっている。高騰の原因が公用車の管理厳格化であることは市民の間では定説になっている。

交通渋滞は年々ひどくなる一方だが、上海ではナンバー入札制度のおかげで幾分かは緩和されているのは事実だろう。しかし従来から十分高いナンバーの価格が役人の管理を強化するとますます高くなるという何ともやるせない状況に、市民のいらだちはますます強まっている。

田中 信彦 ジャーナリスト

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たなか のぶひこ

1983年早稲田大学政治経済学部卒。全国紙記者を経て、1990年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事。近著に「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」(日経BP社)。

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