アベノミクス効果? 地価上昇の気配 都心部の需要増、高額物件に投資マネー

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高額物件に投資マネー

だが一方で、地価二極化の状況も鮮明になっている。全用途平均の地価は3大都市圏で前年比0.6%減と横ばいに近い水準まで下げ止まりつつある反面、地方圏は同2.8%減と下落基調が続いている。首都圏でも、大地震による津波被害が懸念される湘南エリアの沿岸部は、同3%台の価格下落を示す。

日本全体で見ると、こうした価格下落地点の割合が大きく、「ピンポイントで上昇している地点がある一方、まだ面的な地価上昇が期待できる環境ではない」(中山氏)。全国全用途における下落地点の割合は全体の74.2%。3大都市圏に限っても下落地点の比率は58.5%と、まだ過半の地点で価格が下がっている。

ただし、公示地価は毎年1月1日時点の価格。アベノミクスによる年明け以降の株高などの影響を十分に織り込んでいない。

政権交代以降、東京都心のオフィスビルをはじめとした収益不動産は国内外の投資家の間で取り合いとなり、品薄感が強まっている。そのため、「本来は実需向けの商品である都心部の高級マンションにも、投資マネーが流入している」(マンション分譲コンサルティング会社、トータルブレインの杉原禎之常務)。

アベノミクスの効果がこのペースで不動産市場に広がれば、都心を軸に地価上昇圧力が強まることになろう。公示地価の段階では一部にとどまっていた地価上昇が、どれだけ周辺へ拡大するか。業界関係者は期待を込めて先行きを見守っている。

(撮影:尾形文繁) 

週刊東洋経済2013年3月30日号

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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