「ニトリへのヨーカドー出店」が持つ重い意味 ヨーカ堂の構造改革の方向性が見えてきた

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さかのぼること半年前。イトーヨーカ堂の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、収益改善の見込めないイトーヨーカドー40店を2020年までに閉鎖すると発表。そのうち20店を2017年2月末までに閉めると明らかにした。すでに4月の東京・北千住店を皮切りに、7月に神奈川県の本牧店、8月下旬に東京の戸越店を閉鎖。直近では8月31日に岡山県の倉敷店を閉めた。

今後は10月16日に埼玉県の坂戸店、正式発表はしていないが2017年2月末までに岡山市の岡山店、京都府の六地蔵店、愛知県の豊橋店と犬山店、千葉県の東習志野店、2017年7月末までに千葉県の新浦安店の閉鎖が決まっている。

閉店が進む一方で、イトーヨーカ堂は2016年度内に4店舗の出店を計画している。すでに4月にはショッピングモールのセブンパークアリオ柏に出店。同月、東京都の三ノ輪店もオープンした。10月には神奈川県の湘南平塚店、そして12月には冒頭で触れた梅島店の出店を予定している。

いずれも「食品館」で出店するワケ

食品部門は好調。写真はイトーヨーカドー アリオ上尾店(撮影:風間仁一郎)

このうち三ノ輪、湘南平塚、梅島の3店には共通点がある。それは「食品館」という名称で、食品に特化したスーパーとして出店する点だ。というのも、2015年度のイトーヨーカ堂の商品別売上高を見ると、衣料が前期比3.3%減、住居関連が同7.0%減だったのに対し、食品は同1.5%増と伸びている。首都圏の店舗を中心に食品部門は堅調に推移しているだけに、伸びが期待できる食品に特化した出店戦略をとっているということだ。

その反面、衣料や住居関連は厳しい状況が続いている。特に衣料は2016年度に入ってからも在庫増に歯止めがかかっていない。第1四半期末(5月末)の衣料在庫は537億円と、前年同期から68億円も増加している。

単純計算で在庫回転期間は3カ月を超える水準に達している。あるセブン&アイ関係者が「適正な在庫日数は30~40日程度」と指摘することを踏まえると、イトーヨーカ堂は大幅な過剰在庫を抱えていることになる。

セブン&アイは10月の2016年度上半期の決算発表に合わせて、今後のグループ戦略の発表を予定している。イトーヨーカ堂については衣料を中心とした不振事業について大ナタを振るうことが想定される。ニトリ内への出店を含め、今後は食品に特化した展開をより鮮明に打ち出していくことも考えられる。イトーヨーカ堂の構造改革の方向性をみるうえでも、今後の新店動向には注目だ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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