絶好調「マリコン」は、なぜ大型船を造るのか ゼネコン業界は、海の仕事も旺盛だ
南北に迷走した台風10号など、8月はいくつもの台風が日本列島を襲った。こうした悪天候は建設業界にとっては厳しい環境だ。屋外作業が大半の建設現場では工事を進めることができず、特に港湾整備など海での工事を得意とするマリコン(海洋土木企業)にとっては大打撃となる。
そんなマリコンが今、新たな大型船を相次ぎ導入し始めている。
最大手の五洋建設は今夏、多目的起重機(クレーン)船の建造に着手した。投資額は110億円超、2018年9月の完成を予定している。自己昇降式の作業台を備え、800トンの吊上げ能力を持つ大型クレーンも搭載。荒天時の波の影響を減らし、5~6メガワットクラスの風車の基礎の施工や設置作業を行うことができる。長い4本のレグ(船の足の部分)が船体を固定するため、水深50メートル程度の海底が深い場所での作業も可能だ。
需要拡大に備えて積極投資へ
五洋建設は2014年にも、大型ポンプ浚渫(しゅんせつ=港湾や河川の底面から土砂を取り除くこと)船「カシオペア ファイブ」を新造している。カシオペアは東南アジアをはじめ海外での大型海上土木工事がターゲットだったが、今回の多目的船の狙いは国内を中心とした洋上風力の設置工事。洋上風力を主なターゲットとした船舶の建造は初めてだ。
大金を投じて作業船を造るからには、完成後に一定の稼働状態を確保する必要がある。それだけの工事の需要が見込めるのか。
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