「豪華列車」が続々、JR東西対決の勝者は?

クルーズトレイン時代がやってきた

JR東の四季島で腕を振るう料理人たち(撮影:今井康一)

豪華寝台列車の旅における重要な要素である「料理」については、JR西日本が一歩先んじた。JR西日本が2015年2月に料亭「菊乃井」三代目主人の村田吉弘氏とレストラン「HAJIME」オーナーシェフの米田肇氏を料理の一部を担当すると発表すると、JR東日本は2015年6月に、日本人初のミシュラン一つ星を獲得した中村勝宏氏を料理監修者に起用すると発表している。

その後も運行ルート、料理メニュー、客室乗務員の制服デザイン、ラウンジの設置など、両社ともに何かが決まる度に、ニュースとして発表している。「情報を小出しにして、運行開始に向けムードを盛り上げていくのが狙い」(JR関係者)という。確かにななつ星のときも、JR九州は少しずつ情報を出していた。

営業面では三つ巴の戦いに

では、豪華観光列車への期待感はどこまで醸成されたのか。四季島の2017年5~6月の申し込み状況が7月6日に発表された。最上級のスイートルームは1人94万~95万円という高額にもかかわらず最高倍率は76倍だった。平均倍率6.6倍。「多くの申し込みをいただいた」とJR東日本の担当者は手放しで喜ぶ。

だが、ななつ星は運行開始から3年近く経過した現在でも最高倍率185倍、平均倍率24倍、という大人気ぶり。四季島のはるか上を行く。車両の豪華さ、運行ルート、地元の名産品を使った料理。四季島がななつ星に劣るものはどれ一つないとしたら、四季島の知名度は、ななつ星ほど世間に浸透しきっていないということだ。もっとも、ななつ星も運行開始前の予約受付では平均倍率は7.2倍にすぎなかった。四季島も運行開始すれば、一気に人気が高まるのかもしれない。

ユニークな瑞風の先頭形状だが、車両設計のセオリーに基づく(撮影:尾形文繁)

瑞風は料金設定と運行開始日を8月28日時点では発表していない。予約受付もこれからだ。おそらくJR西日本の営業部隊は、四季島の状況をにらみながら、効果的な発表時期をさぐっているに違いない。

「東京を発着点とする四季島と比べ、瑞風は大阪を発着点とするので集客の点でハンデがある」という見方がある。一方で、運行ルートは鳥取砂丘、厳島神社、尾道といった著名な観光地を数多く含む。価格設定などツアーの詳細次第では四季島と互角以上に戦える可能性もある。

四季島と瑞風の運行開始はななつ星にも影響を与えるはずだ。来年の今ごろは、日本国内に3つの豪華寝台列車が走ることになる。豪華寝台列車ブームが巻き起こって人気が過熱するのか、あるいは、限定された需要の奪い合いになるのか。豪華な車両とは裏腹に、営業面では三つ巴の神経戦がいよいよ幕開けとなる。

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