「LINEいじめ」が職場でも起こってしまう理由 気を付けないとパワハラ、セクハラの温床に

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Cさんの勤める会社では再発防止に向けて、あえて社内で「取引先その他これと準ずる相手との個人的なメールアドレス、LINE、フェイスブックその他SNS等の連絡の交換をしてはならない」というルールを作ったそうです。これに対しCさんは「断りやすくなりました。なんせ会社の規則ですから」と安堵の表情を浮かべていました。

LINEいじめは立派なハラスメントです

LINEはプライベートに限らず、仕事のうえでも使い方を誤ると思わぬトラブルに発展してしまいます。

社内では特に上司は使い方に気をつけねばなりません。部下との信頼関係を築いていない状態で「あいつもわかってくれているだろう」といった思い込みで一方的にコミュニケーションをとると行き違いが生まれ、まわりから見れば立派なパワハラやセクハラに発展している可能性があるのです。

また、社内のコミュニケーションツールとしてLINEグループ等を利用する場合には「勤務時間外は使わない」「事務連絡以外は使用しない」「個別のやり取りはしない」など一定のルールを決めてから利用するとよいでしょう。

その他、社外、特に力関係がハッキリとしてしまう取引先等とのトラブルは会社として回避する手段を講じておくことが望ましいです。「業務用のスマホを支給し、LINE等のインストールを禁止する」やCさんの会社のように「会社の規則で禁止する」ことも有効です。

いまだ各種のハラスメントは職場において増加傾向にあります。ただ、認識しておいて頂きたいのは、思い悩んでいる本人以上に、会社はハラスメントに対して真剣に考えているということです。今回、テーマとしたLINEに関連したトラブルに関わらず、ご自身のまわりでハラスメントが発生した場合にはまずは会社のハラスメント相談窓口に相談する手があります。

加害者が社長のケースなど、どうしても相談しづらいような場合には、労働局や労働基準監督署内に設置されている総合労働相談コーナー等に相談することもできます。1人で我慢して、気づいた時にはメンタル不全で休職を余儀なくされたり、退職に追い込まれてしまったりする前に、周りに相談すると良いでしょう。

大槻 智之 特定社会保険労務士、大槻経営労務管理事務所代表社員

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おおつき ともゆき / Tomoyuki Otsuki

1972年4月東京都生まれ。日本最大級の社労士事務所である大槻経営労務管理事務所代表社員。株式会社オオツキM 代表取締役。OTSUKI M SINGAPORE PTE,LTD. 代表取締役。社労士事務所「大槻経営労務管理事務所」は、現在日本国内外の企業500社を顧客に持つ。また人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、220社(社員総数18万人)にサービスを提供する。

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