ルネサス、モバイル整理でも道険し
携帯向け半導体子会社の売却を検討

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これまで、海外子会社はリストラの対象外だった。ルネサスモバイルはフィンランドのほか、インドなどに多数の人員を抱えるがメスを入れられずにいた。だが、それが重荷となり、ルネサスモバイルの収益は低下。今年2月には207億円の減損処理を迫られている。

ルネサスは昨年12月、官民ファンドの産業革新機構やトヨタ自動車など民間企業8社から、計1500億円の出資を受けることを発表。69%出資の大株主となる革新機構はマイコンを核とする半導体メーカーへ脱皮し、製品寿命の短いシステムLSIについては縮小する方針を掲げた。

この時点では、富士通とパナソニックが進めるシステムLSI事業の統合にルネサスも合流することが既定路線と見られていた。ただし、革新機構がカーナビや産業用のシステムLSIは本社に残し、モバイルやコンシューマー関連を切り離すとしたことで交渉は長引いた。

富士通、パナはシステムLSIで先に合流

富士通やパナソニック側からすると、赤字事業だけを押しつけられてはたまらない。「ルネサスのリストラが進まないと難しい」(富士通首脳)。2月に富士通とパナソニックの2社は、ルネサス抜きでシステムLSIの設計部門の事業統合を検討すると表明した。

ルネサスは2月22日に社長交代を発表。赤尾前社長は取締役に退き、鶴丸哲哉取締役執行役員が社長に昇格した。鶴丸氏は自動車用マイコンなどを生産する那珂工場長を経験した生産畑出身だ。ただし「今年秋に革新機構が外部から社長を送り込んでくるまでの暫定的な人事」(関係者)とも言われる。ルネサスのモバイル事業の切り離しは、改革の一端に過ぎず、再生への道はまだまだ険しい。

(撮影:尾形 文繁、梅谷 秀司)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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