エイベックスがダメ会社にならない道がある

松浦社長「ギリギリを攻めていきたい」

山田:むしろ世界のアーティストのトップリストを作って、どんどん「東京に住みませんか」と口説いていく。そういう人は、日本でおカネをいっぱい落としてくれるでしょうし、ファンも世界中から来ますから、観光面でもプラスになるはずです。世界中のファンが「この人はここに住んでいるんだ」と。「この喫茶店に行っているんだ」みたいなこともあるでしょうし。

松浦:どうして東方神起が日本で人気が出たのかといえば、6カ月間は日本に滞在していましたからね。例えばアメリカのアーティストのスケジュールを3カ月押さえることができれば、日本に3カ月住んでもらうことになる。そういったことからやっていくといいかもしれない。

その時代に合ったギリギリをしていきたい

山田:話が変わりますが、エイベックスはクラシック音楽も手掛けていますよね。クラシックはビジネスとしてどう考えていますか。

2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初優勝した辻井伸行氏(写真提供:avex-CLASSICS)

松浦:うちには辻井伸行っていうピアニストがいるんですけど、彼は世界ツアーができる。もう年がら年中、世界に行っています。そういう意味でいうと、クラシックって言葉の壁がない分、世界に広がりやすい。

山田:興業としても高齢化問題が大きいように思います。在京の交響楽団の定期会員は、すでに老人クラブのような様相を呈していますから。ギリギリのところを攻めていく、っていうことではクラシック音楽も変えてください。

松浦:確かにエイベックスへの期待ってそういうところだったんですよね。昔からコンプライアンスに引っかからないギリギリのことをやってきた、それを今はほとんどしていない。妙にちゃんとした会社になってきた。コンプライアンスは守りつつも、やっぱり世の中がびっくりするようなことをやらないと、うちの会社らしくないと思っています。そこは取り戻さなきゃ駄目なところだと。

山田:1990年代とは環境も違うと思うので、また違う形で壊していく必要がありますね。

松浦:そこが大切なところです。時代時代によって、やっていいギリギリのラインというのが変わっていきますから。アンディ・ウォーホルが、今同じことをやれば捕まってしまうかもしれませんが、あの時代だからできた。それでも、あの時代のたぶんギリギリだったと思う。

常にその時代に合ったギリギリをするべきだと思うんですよ。これは見方を変えると危なっかしいことをやっているように見えるんですが、それを見極めなくてはならない。絶対に安全で、批判も受けないことをやるとなれば、みんなをびっくりさせるような面白いものは当然できなくなる。

ただし、会社の規模によっても世の中の見方は変わる。小さい時は割と自由だったものが、今のうちの規模の会社が驚くようなことをすると、それが元でルール化されることもある。だから相当気を付けなければいけないんです。

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