エイベックスは、このまま行くとダメになる 松浦社長「いつの頃か大企業病になっていた」

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松浦:大企業病以外の何ものでもない。現場からは上司や部課長に対しての不満がすごく多い。でも社員も増え、年齢も上がっている。組織や給与体系をふくめて全部を直さないといけないので「えいや!」と言ってできるものではない。丁寧にヒアリングしていくと、どうしても1年ぐらいかかってしまう。だから今年は踊り場なのです。

山田:この10年間でネットの世界は大きく変わりましたが、この10年は短かったですか。もっと本来はやるべきことがあったなという後悔はありますか。

経済誌は僕が出るような雑誌ではない

松浦:後悔というよりも、そもそも社長をやること自体が突然のことでしたから。

正直に言いますけれども、これまで僕は経済誌などのインタビューにはほとんど出たことがない。なぜかというとコンプレックスがあったんです。僕が出るような雑誌じゃないと思ってしまう。「大好きだった音楽を作っていたら、会社が大きくなり、たまたま社長になってしまった」という思いがどうしてもある。大学時代に経済のことを一生懸命勉強して会社に入って叩き上げで社長になった、ということではない。ですから今日もドキドキしているんですよ。

山田:この1年ぐらいで切り替えている感じでしょうか。

松浦:昨年までは代表取締役が4人いる形だったわけですが、この6月からは僕1人になった。そういうこともあって、過去10年とは違う立場になった。これはもう変えなければいけないと。

これまで、決算会見などは僕がやらなくても財務の最高責任者が「私がやりますよ」と言ってくれた。だって僕が出るよりも担当者のほうが詳しく話せるし、そもそも人の前で話すのは苦手だし、好きなほうではなかったので。だから、「出ないでも大丈夫と言ってくれるので任せます」という気持ちでいた。

5月の決算会見では自らマイクを握った

だけど、5月の決算会見に自分自身が出てみて、やっぱり自分で話すと違うっていうことがよくわかった。話の内容はさておき、人柄は直接会わないと伝わらない。それが会見に出たことで少しは伝わったのではないかと思うし、そこがやっぱり大事だと思いましたね。

山田:ライブで実際に表情を見ながら話を聞くと情報のビット数が違うわけですね。

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