シャープ、サムスン鞍替えの裏にiPhone5 「アップル専用工場」停止で賭けに

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シャープは出資企業探しに奔走してきた(撮影:ヒラオカスタジオ)

亀山第2工場だけではない。大型パネルの堺工場も今やサムスン頼みである。堺工場の運営会社は昨夏より、鴻海グループとの合弁に切り替えている。鴻海グループとシャープの引き取り責任は半々。シャープが引き取るパネルは、大半がサムスンの40型と60型のテレビ向けで、残りを自社テレビ「アクオス」に出荷している。

「サムスンはきっちり買ってくれる」

償却負担が重い巨大液晶パネル工場にとって、稼働率の安定は最大の課題である。テレビ、スマホなどトップレベルの売り上げ規模を誇るサムスンが、今のシャープの液晶事業を支えている。

「サムスンは、『買う』と言った量はきっちり買ってくれる」(シャープ関係者)。こうした“実績”の積み重ねがあり、昨秋頃から、シャープとサムスンは、テレビ用パネルを中心とする長期供給契約の締結を模索していた。

3月6日、シャープはサムスンから103億円の出資を受けることで合意した。3月28日までに実施する第三者割当増資を、サムスンの日本法人が1株290円で引き受ける。サムスンの出資比率は約3%となり、シャープの第5位株主になる。

ホンハイからの出資の払込期限も近づく

昨年12月には半導体大手、米クアルコム社から約100億円の出資の契約を取りつけるなど、シャープはこのところ、出資企業探しに奔走してきた。背景には財務体質と資金繰りの急悪化がある。その一方で、急激なアップル向けビジネスの不振が、サムスンへの第三者割当増資の後押しとなったことも自明である。

シャープの選択は再建にどう影響するのか。サムスンを宿敵と見なしてきた鴻海精密工業との協業や、3月26日を払込期限とする鴻海からの出資はどうなるのか。

『週刊東洋経済』3月16日号(3月11日発売)の「強者サムスンへ鞍替え シャープ生き残りの賭け」で詳報する。

前野 裕香 ライター

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まえの ゆか / Yuka Maeno

1984年生まれ。2008年に東洋経済新報社に入社し記者・編集者として活動した。2017年にスタートアップ企業に移り、広報やコンテンツ制作に従事。現在はフリーランスライターとしても活動中。

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