では、「国政に関する権能」とは何か。天皇に「国政に関する権能の行使」が認められないのは、明治憲法下において、軍部が「統治権」の総覧者とされていた天皇を盾に暴走したため、戦後にGHQの意向により、天皇の権限が政治的に利用されないよう、「統治権」が剝奪されたからだ。このような経緯からすれば、「『国政に関する権能』とは、立法権、行政権、司法権のような統治権を行使することや、それに影響を及ぼすような行為をすることを意味する」(同)ということになるだろう。
宮内庁の風岡典之長官は、今回の「おことば」を受けた8日の記者会見で、「憲法上の立場を踏まえたご発言」とし、政治的なメッセージではないと強調している。天皇も「日本国憲法のもとでは、天皇は国政に関する権能を有しない」ということに、「おことば」の中で繰り返し言及していた。しかし、実質的には、具体的な制度の創設を天皇自身が希望する内容といっていいだろう。有識者会議により議論の開始を先延ばしにする配慮をしたところで、今回の「おことば」が立法権や行政権に影響を与えたことは否定できないだろう。
ただし、伊藤弁護士は、今回の特殊な事情を次のように指摘する。
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