音楽配信、聴き放題サービス続出のワケ 定額音楽配信サービスの勝者は誰だ?

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一方、携帯電話各社はレコチョクと組み、少し前から低価格の定額制に踏み出している。

NTTドコモは12年7月に「dヒッツ」を開始。月額315円の低価格で毎月2000曲以上を聴くことができる。ただし、10曲程度をまとめたプレイリストで再生するため、ラジオに近い。「音楽番組の減少などでユーザーが音楽に接する機会は減っている。気軽に利用してもらい、サービスの裾野を広げていきたい」(NTTドコモ・ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏)。気に入った曲があれば、ドコモが運営する「dミュージック」からDL購入してもらうことも狙っている。

2011年6月から月額1480円(3月から980円)の「リスモ・アンリミテッド」を展開するKDDIも、12年6月に月額315円でラジオ型の「うたパス」を開始した。

ソフトバンクは2月にエイベックスとの合弁事業「UULA」を始めた。月額490円で、音楽はミュージックビデオで提供、映画やドラマ、カラオケも楽しめる。

今春にはDeNAの新事業「グルービー」もお目見えする。音楽はDL販売が主体だが、定額の要素も組み合わせる予定。モバゲーで4000万人の会員基盤を持つだけに、レコード会社からの期待が大きい。

スポティファイの影

「黒船」襲来の予感も各社を駆り立てる。

スウェーデン生まれのスポティファイ、フランス生まれのディーザーなど、広告と課金を組み合わせた音楽の定額配信サービスは、欧米で多くのユーザーを獲得している。

中でも08年設立のスポティファイはフェイスブックとの連携機能により、無料会員2000万人を超える人気サービスに育った。ユニバーサルミュージックの島田和大執行役員は「スポティファイは定額配信のデファクトスタンダード。グローバルではユニバーサルも出資しており、重要性が増している」と言う。

DL販売では、05年に日本に上陸した「アイチューンズ」にデファクトスタンダードを握られ、主導権を失った日本のレコード会社。定額配信でも同じ轍を踏むのか。「スポティファイは日本進出を準備中」(関係者)。厳しい戦いが始まろうとしている。

(撮影:今 祥雄)

(週刊東洋経済2013年3月2日号)

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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