小僧寿し大リストラ、社員も直営店も4割減 社長就任後1年で誤算

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直営店が減少する一方、FC店は直営店からの移管により12年12月末の271店から13年12月末には349店舗へと、80店弱が増加する見通しだ。

従業員の希望退職で3.2億円、直営店の売却で9億円、その他も含めて15億~18億円の経費削減効果を見込むと会社側は説明する。

小僧寿しのいちばんの問題は、客数減に歯止めがかからないことだ。1980年代には直営店、FC加盟店合わせて2000店舗を数え、91年にはチェーン全体の売上高が1000億円を超えた時期もあった。

効果薄かったすかいらーくとの提携

その後、回転ずしチェーンの台頭や、スーパーがすし販売に力を入れたことが、持ち帰りずし市場を侵食。それでも90年代は堅調な業績で推移したものの、2000年代に入ってからは赤字体質が定着。05年に食材調達で相乗効果が見込めることからすかいらーくと業務・資本提携したが、業績は改善せず、凋落の一途をたどってきた。

2011年10月に親会社だったすかいらーくの株が野村証券系の投資ファンドから米投資ファンドのベインキャピタルに転売されると、すかいらーくは小僧寿しの放出を決定。さまざまな企業に売却を持ちかけ、最終的には法人向けに通信料金を一括請求するサービス会社・インボイス(現在は売却済み)の創業者である木村育生氏に小僧寿しを売却した。

木村社長が外食事業を手掛けるのは初めて。就任当初から、小僧寿しを短期間で再建することは難しく、結局、手放さざるをえないのではないかと業界内ではささやかれていた。そして就任して1年が経ち、木村社長は従業員の希望退職や店舗の大規模な改廃といった大リストラに踏み切る。

ただ、赤字が続く小僧寿しの業績がこうしたリストラで好転するか、即断はできない。リストラの効果が浸透するには時間がかかるものであることから、東洋経済では今期も営業赤字が続く可能性があると見ている。

(木村社長の写真は昨年6月時点、撮影:梅谷秀司)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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