「峯岸みなみ丸刈り謝罪問題」をどう見るか?

AKB48を経営学で考える

それを未然に防ぐために教育する仕組みを作り、失敗を一緒に謝ってくれる人やシェアできる責任者を置き、見守り育てるという視点が織り込まれていないと、必死で一生懸命な若い女性たちだけに責任を負わせる、アンフェアなビジネスモデルになると考えられます。

AKB48のようにチームとしてのブランドを作りエンターテインメントを提供する以上、ブランドイメージを体現できるプロフェッショナルとして育っていく大変なプロセスを、個人の自覚や責任だけに任せることは、組織論的には大きな問題があるのです。

アイデンティティを培う仕組み

ファンに見守られ、踊りや歌などの能力を伸ばせば、おのずと組織内のポジションも上がってきます。しかし、自分たちのイメージをマネジメントできる力がきちんと育っているのかは、また別問題です。

峯岸さんの問題を聞いて、指原莉乃さんがHKTに移籍になったことを思い浮かべられた方も多いのではないでしょうか。そのことについて、秋元康氏は、下記のように語っています。

「指原はノーマークで、非行に気付かなかった親の責任だと思っている。名前は出せないけれど、何回も目撃されたりしていたという情報があるコには、『気を付けなさいよ』とか『どっちかにしなさいよ』って言ってあった。それなのに何かが起これば、イエローカード2枚目ということで解雇せざるを得ない。でも指原にはイエローカードがでていなかったの」(『GQ JAPAN』2月号、72ページ)

この発言は、峯岸さんの問題が起こる前のものです。若い女性たちが、ファンが大切にするAKB48のイメージを守り育てていくために、私生活をきちんと自己管理できるかということについて心配していることを、秋元氏が認めていると思われます。ブランドイメージを体現するという難しい仕事を、若い女性たちの自覚だけに担わせるのは困難だということを、もしかしたら秋元氏は、気がついていたのかもしれません。

京都花街では、歌や踊りなどの技能と、舞妓であるという職業上のアイデンティティの両方が培われていく学習のサイクルが回るようになっています。

技能形成を促す人間関係は、キャリア形成に応じた言葉をかけられる仕組みでもあり、若い人の自覚を自然に促すように機能しています。

AKB48のメンバーは、歌やダンスなどの技能を磨く機会があり、ファンとも親しい関係で見守られています。また同期や先輩との関係もあり、これらの面では組織論的に見て、京都花街とよく似た仕組みといえます。

書籍『舞妓の言葉』では、京都花街の教育について解説しています。

自らキャリアの選択をして、秋葉原の劇場の舞台に立つ彼女たちは、とてもすてきです。将来の夢のために、今AKB48で必死に努力しようという意思と行動力は、私たちに感動をもたらします。

だからこそ、AKB48らしく、ファンの期待に応えながら、AKB48というブランドをメンバーがマネジメントできるようになる教育が仕組み化されていなかったことが、残念でなりません。そんな仕組みをビジネススキームの中に織り込み、関係者によってきちんと運営がされることで、彼女たちがはじけるような笑顔で舞台に立ち続けられるのではと考えます。

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