ISAレースのカギは「口座開設」の簡素化 日本版ISA導入で始まる銀行・証券の口座獲得戦争(2)

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その間、同制度の仕組みは二転三転した。たとえば、実施期間は当初の5年間から民主党政権下で3年間に期間設計は短縮され、さらに恒久化へ論議が移り、最終的には10年間で決着した。

「これは、極めて重要なポイントだった」
 銀行、証券会社は口をそろえてこう指摘するのは、たとえば、3年間だけでは「専用システムが投資倒れに終わる」からだ。したがって、最近まで銀行、証券会社の間で「ISA熱」は盛り上がらなかった。いままで国民的な話題に昇華しなかったのもそのためである。

「5年で5本」の非課税枠、有効期間は2027年まで

そこで、ようやく決定した同制度の仕組みを簡単に説明しよう。まず、対象商品は上場株式と株式投信であり、年間、元本100万円を上限にして、譲渡益、配当が非課税となる。5年間だから、非課税枠は最大500万円となる。

1年目を1本、2年目を2本とみていくと、5年で5本の非課税枠が出来る。最後の「10年目」が終わるのは平成39(2027)年だ。最初の1本目の有効期間が5年間だから、平成29(2017)年にすべてが廃止されるというわけではないことに注意を要する。

次に見落とせないのは、1年間当たり上限100万円の枠である。一度活用し、その年の途中に投資商品を売却すると、それに使った枠は使えないからだ。具体的に言えば、株式投信を50万円購入し、半年後に同金額で解約すると、残りの半年に存在する非課税対象枠は50万円となる。つまり、「枠」と言うよりも、行使が一度きりのオプションと考えたほうが分かりやすい。 

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