大和証券グループ、収益改善は鮮明 第3四半期決算は利益大幅増

拡大
縮小

大和証券グループ本社は2月1日、2013年3月期の第3四半期(12年4~12月期)決算を発表した。コスト削減効果と市場環境の好転によって収益力は大きく改善。第3四半期のみで見た経常利益は181億円と前四半期から2.1倍以上の大幅な伸びとなり、当期純利益も140億と同9割近く増えた。

第3四半期を累計でみると、経常利益は351億円、当期純利益は241億円となり、前年同期の経常赤字、純損失から大幅に回復した。

株価回復を受け手数料収入が増加

第3四半期は、政権交代への期待に伴う株価の回復を受けて、日本株取引が拡大。株式委託手数料が113億円という高水準となったほか、株式投信の回復で投信販売手数料も112億円まで増加した。また、国内証券2社の統合効果が発揮され、中堅企業などのミドルマーケットにおける債券販売も好伸した。こうしたリテール部門の好調に加えて、ホールセール部門では、エクイティ中心に拡大したトレーディング収益が海外拠点の損失を吸収して経常黒字化した。ホールセール部門の経常黒字化は10年1~3月期以来、11四半期ぶりのことだ。

収益力の回復は、第3四半期においてもとくに11月下旬から12月にかけて鮮明化し、1月はさらに好調度合いを増している。したがって、13年3月期の通期利益水準は東洋経済が、「会社四季報」で示した直近予想額を大幅に上回ることはほぼ確実だ。一方、収益力の回復が持続し、さらに海外収益が安定化すれば、課題のひとつとなっている「格付け」の改善にもつながるだろう。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT