楠木建「すべては好き嫌いから始まる」

今の日本に必要なのは「矢印のリーダー」だ

これからは非常にいい時代

「矢印のリーダー」は今後増えてくるはずだ。必要は発明の母。世の中がそういう人を必要としている。その意味で、これからは非常にいい時代だと思う。本当のリーダーが必要になってきて、そういう人が世の中を動かしていく。

時間的な順序で言うと、まずスキルをつけてから、やりたいことを探す人もいるが、それは順序が逆だ。それよりも、「こういう商売をやりたい」という意気込みで商売づくりに取り組めば、マーケティングやらファイナンスやら、自然といろんなスキルを身に付けざるをえない。どうしても自分ができないところは、誰かほかの人に補ってもらえばいい。

自分の好き嫌いを抽象化して本質をつかむことによって現実の仕事と折り合いをつける。それに忠実に「こんな商売をやりたい」と提案する。すぐには難しくても、いろいろと会社の中で動いてみて、一生懸命場をつくる。それでも、どうしても理解を得られず、資源を獲得できなければ、「ダメだこりゃ」。そのときは会社を辞めて、転職するなり、起業するなりすればいい。

本当は、多くの人が「自分は、三角形より矢印が向いている」と思っているはずなのに、そのモデルがないので、ついつい既存の三角形に引き寄せられてしまっている。

日本の青春期には、「矢印のリーダー」がいっぱいいた。小林一三だって、本田宗一郎だって、松下幸之助だってみんなそう。「矢印のリーダー」はたとえ失敗しても、好きなことをしているので、報われる。定義からして「負け」がない。それがすばらしいところだ。

(撮影:今井康一)

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