韓国に「朝鮮族との融合」という覚悟はあるか 今や食堂や介護現場で必要不可欠な存在に
家政婦は共働きの若い夫婦に人気がある。ひと月120万(約10万円)~200万ウォン(約18万円)ほどで住み込みで働く場合が多い。数年間、朝鮮族の家政婦を雇用している朴さん(40歳)は言う。
「子供への言葉の影響も考えてできれば韓国人に頼みたかったのですが、なかなか見つからないし、割高。そこで思い切って朝鮮族の家政婦にお願いしたのですが、仕事ぶりもきちっとしているし、韓国人にはない純粋なところもあって今のところ満足しています」
朴さんは家政婦をサイトで探し、数人ほど面接してから決めた。面接で聞くのはまずビザの問題と韓国に来たのが単身か家族と一緒かで、「単身だと中国との往来が多くなって欠勤が増えるため」だそうだ。子供2人の朴さんの場合は住み込みで日曜夕方から金曜日の夕方まで、子供の面倒と家事全般でひと月180万ウォン(約16万円)だ。
どう暮らしていくかは手探り状態
先述した金成鶴総会長は1995年、中国延辺事務所ソウル駐在代表として韓国に来た異色な存在だ。
「中国では検事でした。朝鮮族が韓国に渡るようになってから、文化の違いもあってさまざまな問題が起きました。そのため、そうした問題を解決するために中国延辺事務所ソウル駐在代表に発令されたのです」
金総会長は仕事の傍ら、2001年に延辺冷麺屋をオープンさせた。美味で独特な味わいの延辺の冷麺なら商売にもなるし、朝鮮族の憩いの場にもなると考えたからだ。店の運営は中国で先生をしていた夫人が担当した。
2002年には、家賃も安く、朝鮮族が多く働く工事現場から近い今の大林洞に引っ越した。2006年には事務所代表を辞めて事業に専念すると店は順調に成長し、今ではこの他にウエディングホールも経営するなど、朝鮮族の中では成功した事業家として知られるようになった。
「多文化家族」とどう暮らしていくかについて積極的に取り組んでいる韓国にあっても、それはまだ手探りの状態だ。大林中央市場で30年近く商売を続けてきたある店の店主はこんなことを言っていた。
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