人が、最高の環境で、最高のメンバーと一緒に最高の仕事ができるなんて、人生の中で一瞬しかありません。この今ある最高の瞬間というのは、本当に「今」しか存在しません。大体の場合は、上司が変わったり、会社が買収されたり、病気になったりと、いろんなことが重なって、状況はどんどん変わっていき、流れ星よりもあっと言う間に過ぎ去っていきます。
だから、いつの日か、この最高の瞬間が去ったときのことを考えなければいけません。あなたが今、充実した仕事ができるのは、きっと優しい彼が心の安定をくれているからです。頑張れるのは彼のおかげです。彼と価値観が合わなくなっていきているというのは、あなたが「自分の価値観」が絶対に正しいと信じているからにすぎません。
「かみ合わないところは、別に一緒にやらなくていい」
某米系IT企業のアジアのマーケティングディレクターと以前お会いした時に、彼女はこんなことを言っていました。
彼女はハーバードのビジネススクールを出て、40歳の若さでアジアの統括部長になっています。その華やかなキャリアを築く裏で、同僚を何人殺してきたかはわかりません。多分、右手では足りないでしょう。彼女は結婚していますが子どもはいません。子どもがいない理由は詳しくはわかりませんが、彼女は自分の人生で子どもはいらないと決めたとだけ言いました。そんな彼女が、パートナーシップについて語った時、こんなことを言いました。
まず、自分の世界を作り上げなさい。そして、旦那さんなり彼氏なり、彼の世界とかみ合うところがあれば、一緒に何かをやっていけばいい。そうすれば、もっともっと遠くに行ける。かみ合わないところは、別に一緒にやらなくていいのよ。
この話を受けて、なんというか私は日本人の完璧主義について恥じるところがあったんですね。仕事も完璧にしなければいけないし、人間関係に対しても、なんだか完璧じゃなきゃいけないと知らず知らずのうちに思っていたわけです。
人間関係において完璧というのは、自分の価値観と相手の価値観がぴったりと合ってなきゃいけないという意味です。でも、考えてみればそんなことあるわけがありません。
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