東ソー、成長引っ張る3つの軸 宇田川憲一社長に聞く
――今後の成長に向けたポイントはなんでしょう?
「ハイシリカゼオライト」「ジルコニア」「化学合成法マンガン酸化物」という3製品です。
米国、欧州の自動車排ガス規制の強化により、規制対象物質である窒素酸化物や炭化水素などを吸着するハイシリカゼオライトが多く使用されるため、四日市事業所で生産能力の増強工事に着手しています。今年3月に完工する予定で、生産能力は従来から約5割増となりますが、現在、さらなる生産能力増強の検討を進めています。
ファインセラミックスのジルコニアは、歯科材料として需要が拡大しています。高価な材料ではあるのですが、自然な歯と似た仕上がりになり、審美歯科材料として注目され、高級腕時計などの装飾品や電機電子関係にも使用されています。昨年11月に約20%増となる生産能力増強工事が完工しましたが、今後ともマーケットを注視して、先行的に投資ができればと考えています。
化学合成法マンガン酸化物は、電気自動車(EV)のリチウムイオン二次電池正極材原料として需要増を期待しており、グループ会社の東ソー日向(宮崎県日向市)で、今年3月の完工を目標に年産5000トンの新規製造設備の建設に着手しています。
ただ、電気自動車の立ち上がりが遅れていることが気がかりです。いずれは需要が拡大してくるものと考えていますが、EV以外のハイブリッド車向けへの応用も取り組んでいきます。
バイオ関連の強化も
――3製品以外には?
3製品以外では、バイオサイエンス事業があります。この事業で取り扱っている分離精製剤「トヨパール」はバイオ医薬品や食品の製造プロセスで使用される製品で、昨年3月に生産能力増強工事が完工し、生産能力は2倍となっています。