キム:それは、プロレスには長年の熱烈なコアファンがいるからですか?
木谷:というより、プロレスはキャラクターコンテンツとして魅力があるからです。ブシロードの本業である対戦カードなどのビジネスに展開しやすいんですよ。
アニメは今、非常に数が多くて3ヵ月ごとに30〜40の新規タイトルが出てきます。つまり、何かうまくいったとしても、似たような作品やキャラクターがすぐに出てくるわけです。そんな中、競争があまり起こらないキャラクターコンテンツ、もっと言うと、独占的なコンテンツはないのかと前々から探していたんですよ。
キム:なるほど。プロレスは強さだけを競う格闘技と違って、キャラクター勝負のところがありますよね。
木谷:そうです。要するに、ビジネスを二次的に横に広げられるかどうかです。イベントにいくら人数が来て入場料収入が増えてテレビで放送されたとしても、ビジネスとしてはさほど横に広がりません。
キム:つまり対戦型カードのように、キャラクターをライセンスして横展開ができる、と。
木谷:そうです。要するに、WWE(米国のプロレス団体)がやっていることができるかどうかなんですよ。
プロレスがマイナー分野として消滅しかねなかった
キム:先日、新日本プロレスの試合を観戦させていただいて、ひとつ印象的なことがありました。昔は、第一試合から第三試合ぐらいまでは、地味でキャラが立っていない研修生みたいな選手が出ていましたが、最近は、キャラクターの強い選手が第一試合からいきなり出てくるんですね。これは、木谷さんが会長に就任されてからの変化ですか?
木谷:いやいや、そういう流れになったのは5〜6年も前からだと思いますよ。徐々にそうしたキャラクターを重視する傾向が高まっています。
そういう流れがある中で、やっぱり誰かが今プロレスを新しいビジネスにリメイクというかリニューアルして、もう一回トレンドを上向きにしないと、たぶん全部の団体がマイナーになって消えてしまう運命にあるだろうなって思っていました。
そこで、不遜な言い方ですけど、「自分がやるしかないのかな」と感じて、一昨年の8月末にユークスの谷口行規社長に「僕にやらせてもらえませんか?」と切り出したわけです。その後は、値段や条件や期日を含めたディールの作業に入りました。
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