高値メドは1800ドル、世界景気回復なら下落も

13年の金価格はどうなるか

下のグラフは各種金ETFの数量残高推移であるが、09年初と10年半ばに大きな増加を見せている。前者は、08年12月に米国FRBがFF金利の誘導目標を年0~0.25%に設定し、史上初めてのゼロ金利政策に踏み切ったことで、大幅なドル安不安と、中長期的なインフレ懸念が台頭したことが背景である。

そして後者は、09年3月から10年3月に量的緩和第1弾(QE)が実施され、高止まりする失業率を背景に第2弾(QE2)が期待されていた時期である。その後、10年8月末にジャクソンホールでFRBのバーナンキ議長がQE2を示唆して、同年11月に実際に発動する間に、実はさほど残高が増えていないのは興味深い。

リーマンショックの後、欧州でも深刻な危機が噴出した。発端となったのは、09年10月のギリシャの政権交代だ。前政権である新民主主義党が統計の操作を通じて、財政赤字の隠蔽工作を行っていたことが発覚した。

この事件をきっかけに、欧州諸国のソブリンリスクが脚光を浴び、「PIGS」という流行語まで生まれた。統合通貨ユーロの存続と、地域の将来に対する不安感から、域内の金現物投資が急速に拡大した。

中国がインドを抜いて、世界最大の消費国へ

リーマンショック以降、拡大を見せていた欧州の金現物投資は、11年に317トンまで達し、その後、12年にはユーロ建て金価格が史上最高値に到達している。

一方、新興国にとってもリーマンショックは大きな危機であったが、08年11月に中国は前年のGDPの16%に相当する4兆元(約57兆円)に及ぶ巨額の財政出動を発表し、同国の景気腰折れを回避させた。

成長軌道を取り戻した中国は、富裕層の拡大に伴い金の現物投資も活発化し、12年にはついにインドを抜いて世界最大の金消費国になったと見られている。中国に抜かれたインドは、宗教・文化的な要因を背景に、96年以降、世界最大の金消費国であった。だが、貿易赤字解消のため、ここにきて、赤字の大きな要因である金の輸入を抑制する政策を取り始めた。

ただ、リーマン後に通貨減価への懸念から大きなトレンドのひとつとなった、新興国中央銀行による金準備の買い入れについて、その先鞭を付けたのは、インド準備銀行である。09年11月に同行は、IMFから200トンにも上る金を67億ドルで購入した(平均単価1045ドル/トロイオンスと推計)。

その後も、各国中央銀行による外貨準備中の金準備の積み増しは恒常的に発生しており、12年はトルコ、ロシア、フィリピン、ブラジル、カザフスタン、メキシコ等による購入が明らかとなっている。一部の予想では、通年の購入量が合計500トンを超えるとも言われている。 

これまで、ほぼ12年間にわたって金は価格上昇を続けてきたが、その間、先進国ではバブルが起こり、そしてはじけた。またBRICsを中心に、新興国が台頭し、世界はG7からG20の時代に移行した。成長と破綻、そして富の移動が起きる中で、金は「モノ」と「通貨」の一人二役をこなし、両面で存在価値を認められることによって高値を更新してきた。

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