高値メドは1800ドル、世界景気回復なら下落も 13年の金価格はどうなるか
12年は、事態を収束に向かわせようと、関係者が奔走する“調整”の年であった。欧州債務危機のツケをどのように分け合うのか。ECB、ドイツ、フランス、周辺国のせめぎ合いが続いた。年末には、「財政の崖」をめぐって、米国議会でギリギリの調整が行われた。中国においても、新体制における常務委員人事の調整等が難航し、共産党大会が想定より1カ月程度、後ずれするなどした。
右のグラフは、12年初を100として、金、米長期金利、米ドル、ダウ平均、原油、銅価格の年間推移を比較したものである。域内安定化メカニズムの構築に向けて欧州が毎日のようにニュースヘッドラインをにぎわせていた年初は、ECBが前年末に決めた3年物資金供給オペが開始され、商品や株に軒並み大量の資金が流れ込んだ。
夏場に向けては、中国経済のハードランディングが取り沙汰されるようになり、銅や鉄鉱石といったインフラ系商品が弱含む中、金も底値を探る動きを見せた。
しかし8月末のジャクソンホールでのバーナンキ議長講演が近づくにつれて、QE3期待が高まり、余剰流動性の取り込みを目論んで金は年間トップパフォーマーに躍り出た。
昨年9月にECBが周辺国債券の無制限買い取りを発表したこともあり、10月には年初来高値を更新したが、その後はやや頭の重い展開となっている。QE2同様、QE3においても、発表までに期待感で買われるほどにはその後の資金流入が起こっていない印象を受ける。年間を通して見ると、米ドルとの逆相関が特に目をひく。
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