「子なし夫婦」に求められる"覚悟"とは何か

相手に迷惑を掛けず、すべて自分でやる

彼女たちは全員結婚し、そのうちのふたりには子供もいる。それでも仕事と両立する姿には尊敬をしていたのだ。彼女たちに負担をかけてはいけないと思ってしていたことが、ただのエゴだったとわかったとき一気に涙があふれてきた。母のこと、仕事のことでいっぱい、いっぱいだったのか個室で声を抑えて泣いてしまった。

いま思えば彼女たちも家庭との両立でイライラしていたんだと寛大な心で受け入れられる。ひとりで生きている自分は、逆にうらましいと僻まれていたのかもしれないと思う。しかし、33歳とはいえそんな余裕をもてるほど、きちんとした大人にはなれていなかった。

38歳:酸いも甘いも経験して心に余裕ができた

その後、母の病状は回復し一時は危ないと言われていたがいまではすっかり元気になった。しかし、このことがきっかけで父も母も決して、昔のような元気な姿ではないと実感させられた。

母の退院後、代々木上原の実家の近くである富ヶ谷に住まいを移し、こまめに行き来している。仕事も35歳のときに転職した。この年齢で別の職場に移るなんて勇気のいることだったが、旦那や子供のいない自分に失うものはないと思った。転職先は外資の化粧品ブランド。年収は1000万円を超え、父と母のことを考え貯金をしっかりするようになった。

仕事は以前ほど忙しくもなく、心に余裕もできたので恋愛もするように。これまでは付き合うまでとはいかないクォーターラブだったが、久しぶりに心から好きな人に出会えた。

その彼はバツイチで43歳。前妻との間に小学生の男の子がいる。親権は奥さんにあるが、面談の許可はもらっているので頻繁に会いに行っていた。「好きな人に子供がいて心配じゃないの?」と友人に聞かれたが、自分では産んであげれないため正直安心している部分もあったのだ。彼には付きあおうと言われたときに、結婚や子供のことは考えられないとはっきり話している。

息子に寂しい思いはさせたくないということもあり、彼は再婚をしても子供をもつことは考えていなかった。そういったお互いの利害が一致したのも、運命のように感じられる。熱を上げるということはなかったが、一緒にいて安らげる関係がよかった。

半同棲のようなかたちで一緒にいることが多く、「雪乃が40歳を迎えたら同棲しようか」という話も出ていた。夫婦ではなく“パートナー”という関係のため、自分のことは自分でするというルールを設け、お互いを干渉しすぎないことを約束。その代わりお互いに不満があればキチンと話し合おうと決めた。

いままでは彼氏と一緒に暮らすことも、結婚しない自分には向いていないと決めつけていた。しかし、これまでの経験を踏まえて、自分の考えと向き合わせることで、心の中に確かなものが出来上がった気がする。それはひとりの人間として自由に生きていくことと、それに対してどうするかということ。

わたしが決断したのは、母も父も老後はきちんと面倒を見ていく。そして自分のときは、たとえパートナーがいても迷惑がかからないようにする、そう覚悟を決めた38歳だった。

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