ロンドン地下鉄の「廃駅探険ツアー」は超レア

大英帝国が誇る100年超の鉄道遺産を活かす

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かつての蒸気機関車も年に数回特別運転される

1863年に開業したロンドン地下鉄は、まだ電気運転が始まる前には蒸気機関車によって運転されており、電化された後も蒸気機関車はしばらく残り、郊外の支線などで活躍していた。引退後は保存され、年に数度の特別運転などの際に使用されている。

特に開業150周年を迎えた2013年には、特別イベントのために、静態保存されていた開業当時の客車を走行できる状態に復元し、本線上で走行できる状態まで復活させた。復元には、イギリス国内にある保存鉄道の技師が特別チームを編成して作業に当たった。

もちろん、列車密度の高い市内中心部で運転することはなかなか難しいが、ロンドン地下鉄は郊外にも多くの路線を有し、特に週末の末端区間は列車間隔も空く。イベントは、営業列車の合間を縫うように、こうした郊外の路線を巡るダイヤが組まれているが、2013年の開業150周年記念イベントの時は特別ダイヤを編成し、1863年に最初に開業したパディントン~ファリンドン駅間を運転した。

年に数回だけ、限定公開の博物館

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多数の車両が並ぶ「ミュージアム・デポ」

交通局のイベントのうち、こちらも年に数度開催されるのが、ミュージアム・デポのオープンデーだ。ミュージアム・デポとは、ロンドン市内西部アクトン・タウン駅にある車庫に隣接する形で設けられた、ロンドン交通博物館の別館のことだが、通年開館しているわけではなく、数か月に一度の予約制ガイドツアーと、年に数回開催されるオープンデーの時だけ一般開放される。

その規模は、市内にある本館とは比べ物にならない大きさで、展示されている地下鉄車両は、隣接したアクトン車庫から引かれた線路を使って直接運び込まれている。メトロポリタン線で活躍し、2012年に引退したA60/62型車両や、市内中心部の環状線サークル線などで2014年まで活躍したC69/77型車両も、引退直後に博物館へ運び込まれ、現在展示するための準備が行なわれている。

展示物はほかに、各世代のロンドンバスやタクシーはもちろんのこと、実際に使用された昔の駅名表示板や信号装置、運行指令室の操作盤など、実に豊富だ。元々、将来的な展示を考慮して保管していたものを暫定的に一般公開しているという感じであり、一般的な博物館にあるような説明書きなどがない展示物もある。

現時点では、博物館の展示というよりは、むしろ倉庫の中に眠るジャンク品の数々…という印象を受けるが、ここにしか現存しない、非常に貴重なものが多数展示されており、通年開館でないことが非常に惜しまれる。もっとも、逆に年に数度しか拝むことができないということで、プレミアム度が増しているとも言え、ロンドンの交通ファンにとっては外すことができないイベントとなっている。

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