「路線バスの旅」に見る地方交通の厳しい現実 乗り継げず歩きが多くなるのには理由がある

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その一方で、民間の路線バスが撤退したあとを自治体によるコミュニティバスが支えるケースは増えている。主に高齢者の移動を支えているこういったバスは、役場や病院といった施設を主な発着地や経由地としていることが多い。

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都市部でも数多く走るコミュニティバス。地方では民間路線バス撤退後の地域の足となっているケースも多い(写真: うげい / PIXTA)

太川さんは「病院に行けばそこを起点にいろいろなバスが出ている」と言っているが、越山さんも「病院はカギですね。始発だったり終点だったり、ほとんどのコミュニティバスが行くんですよ。困ったら病院に行くと、なかったはずのバスに乗れることもある」という。

現在の地方の交通拠点がどこなのか、そしてその理由は・・・と、乗り継ぎの旅からは日本の地方が抱える実情も見えてくる。

ホテル不足は観光地以外でも

日本全国をめぐっているだけに、交通以外にも見えてくるものはほかにもある。最近は、ホテルが確保できないことが増えてきたという。訪日外国人観光客の増加による「ホテル不足」が地方都市にも波及しているのだ。

路線バスの旅では、当然ながらその日のうちに行けるところまで行ってから宿を探すことになる。数年前までは、地方都市に行ってビジネスホテルが1つも空いていないということは「何かイベントなどがあるといった時以外はなかった」(越山さん)。

だが、今は特に観光地ではない地方都市の一般的なビジネスホテルでも満室の場合もあり、数年前に比べるとホテルの確保が難しくなった。空室が足りず、スタッフと出演者が同じホテルに泊まれることが少なくなったという。

日本のさまざまな姿に出会うローカル路線バス乗り継ぎの旅。地を這うような必死な旅だからこそ、ローカル路線バスが走る地域のリアルな姿も見えてくる。そんな視点で番組を見てみるのも興味深いのではないだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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