東芝、室町氏は特別顧問で「外から見守る」 もう売るものはない、問われる新体制の実力

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――エネルギー関連のカンパニーは、大きな比重を占めている。原子力は、ひとたび事故が起きると、終息はカネも時間もかかる。安全といわれても、安心はできないということを、心にとめていただきたい。再生可能エネルギー比率を高め、原子力を下げることはできないのか。

室町社長:原子力から水力まで、エネルギーミックスの考え方は、国によって違う。IEA(国際エネルギー機関)の勧告もある。その比率をどうすべきかという回答はできる立場にはない。ただ、私どものエネルギー関連の事業で、再生可能エネルギーの比率を高めたいという考えはある。

志賀重範副社長:再生可能エネルギーは太陽光、風力だけでなく、水素を含めて開発を進めている。日本の場合は昨年、「長期エネルギー需給計画」が発表されて、2030年には原子力発電を20~22%、再生可能エネルギーを22~24%という、具体的な目標が定められた。政府のエネルギー政策に貢献できるように、原子力だけでなく、再生可能エネルギーや火力にも注力していきたい。

原発と半導体の2事業によぎる不安

子会社・米ウエスチングハウスの本社。不安の残る原発以外に再生可能エネも強化するのか(記者撮影)

――原発を建設するには、資金が必要だ。(格下げなどで)資金調達コストが上がっている中、どう集めるのか。

志賀副社長:基本的に原発の建設資金はお客さんが手配する。国の支援などを必要とする場合、私どもが間を取り持って、お客さんに融資できるような形をとることもある。一部は私どもが投資するケースもある。資金の状況を考慮した上で、慎重に取締役会で議論する。

株主とのやり取りが終わり、総会の最後には「昨年7月に就任し、本日まで誠心誠意、全精力を傾けてきた」と、この1年弱でやり切ったことを強調した室町社長。確かに就任後、家電や一部の半導体事業など、赤字事業の切り売りをスピード感をもって断行した。ただ、東芝が抱える問題は、根が深い。

原子力事業では、2030年度まで45基の受注を目指しているが、2009年以降に建設を始めた原発は1基もない。半導体事業にしても、NAND型フラッシュメモリの価格が下がり、利益率は低下。経営資源を投入する主力2事業に不安が残っている。東芝が真の意味で再生できるかどうか、次の綱川新社長の手腕に託される。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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