英国離脱議論であらわになったEUの「急所」 欧州の指導者たちも目をそらしていた

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とは言っても、民主主義はEUの未来のカギとなるものだ。何年にもわたり、欧州では「民主主義が欠如している」という批判の声が上がっていた。欧州議会と並ぶEU最大の意思決定機関である欧州連合理事会は、北朝鮮と同じくらい計り知れないほど秘密主義だ。実際に密室の中で、誰が何を言ったのかを公式に記録もせず運営されているのだ。

欧州議会の力を増大させようとする動きがささやかながらあるにはあるが、一般には十分に認識されていない。有権者のEUに対する反感をなだめるには、かなり大きな変革が必要となる。そしてこの不愉快な真実を、主要な政治家たちも気づき始めている。

EU各国の政府が最も恐れているのは、 6月23日の英国での国民投票がきっかけとなり、それを模倣した国民投票が他のあちこちでも行われるようになることだ。そうなれば加盟国と外国の両方で、EUの信頼性が壊滅的な打撃を受けるのは確実である。

EUの変革は一見、不可能に見える

ただ英国がEU残留を決めた場合でも、EUの各機関が安堵のため息を吐くだけで、また通常通りに戻り、機能していない構造に手をつけられぬままになったとしたら、これも同じくらいにたちが悪い。その場合、主要政党に対する草の根の支持をポヒュリストらがむしばむようになることも考えられる。

それではどのような民主的改革が想定できるだろうか?この質問が最後になされたのは2005年、フランスとオランダの国民投票でEUが提案する欧州憲法条約の批准を否決したときだ。当時のEUは絶頂期にあり、ユーロ圏発足や東方拡大で気分が高揚していた。このためEU人気が最悪の状態にある現在、変革を取り付けることは一見、不可能に思えるかもしれない。

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