見えてくる「支持率急落」の先

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見えてくる「支持率急落」の先

塩田潮

 衆議院補選で完敗したのに、暫定税率復活を強行したら、予想どおり内閣支持率が急落した(5月2日発表の朝日新聞の調査では20%に)。なのに、福田首相は対決路線を突き進む考えのようだ。国民の不支持に耐える首相と不人気党首に辛抱する与党の我慢比べとなってきた。首相が忍耐の限界に達したときは放り投げ退陣か破れかぶれ解散に、与党が辛抱し切れなくなった場合は福田降ろしが火を噴くだろう。みんな「天下分け目」といわれる次期総選挙が頭にあるからだ。
 ところが、支持率は危険水域なのに、いまはまだ自民党議員の8割以上が福田続投支持だという。その党内世論が首相の頼りの綱だが、なぜ続投支持か。自民党は衆議院の与党3分の2体制の維持と次期総選挙での過半数確保が大前提であり、福田体制はここまでなんとかその要請にそっていると見られていたからだ。

 だが、福田首相では選挙に勝てないという声が党内世論となれば、事情は一変する。
 次期総選挙で野党に転落すれば、下手をすると、自民党は先細りで万年野党となる恐れもある。そうならないために、なりふり構わずなんでもありという空気が党内世論となると、指導者の資質論も封印し、識見や路線も問わず、党内秩序も無視して、総選挙に勝てるトップをというだけで、総裁交代を敢行する可能性もある。
 「初の女性首相」カードという計算から小池百合子前防衛相擁立話も流れ始めた。民主党も今年9月の代表選では選挙に勝てるトップの選出がテーマとなるだろう。だが、「表紙」の取り替えで急場をしのごうとする政党の思惑に乗せられると、国民は政権選択というせっかくの機会を逃すことになる。その意味で次期総選挙は、政党というよりも、国民にとっても「天下分け目」の戦いであるのは疑いない。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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