提案力を徹底比較! ケース別・おススメ生命保険◆20代編(全4ケース)
ケース2◆20代前半【22歳・女・独身】
実家暮らしで貯蓄好き、30歳くらいで結婚願望
続いてのケースは22歳独身女性、就職したばかりの会社員だ。年収290万円。親と同居で住居費はかからない。毎月の給料は全部自由になる。衣服を買うのが好きで、いろいろなデザインのものを毎月買っている。一応、月5万円の貯金もしており、現在の貯蓄額は50万円。30歳くらいまでには結婚したいと漠然と考えている。持ち家購入は考えていない。保険料についても、どのくらいが妥当な額か見当もつかない様子で、「何から何まで面倒を見てもらいたい」という性格の持ち主のようだ。はたしてこの女性にはどんなプランがふさわしいのか。
実家暮らしの若い独身女性ということもあってか、医療保険単品での提案、または死亡保障額を抑え目にした提案が目立つ。結果として毎月の保険料も最低がチューリッヒのガン保険で1783円、最高額がAIGスターのドル建て終身保険で1万5160円となっている。AIGスターのプランは掛け金こそ高いが、保障額を必ず受け取れる終身タイプであることに加え、入院も日額1万円支払われる。死亡保障額10万ドルについては、「独身のため、最低限の死亡保障を確保」したという。明治安田の保険料も1万4490円と高額だが、入院日額1万円に加えて、10年確定年金も組み合わせた、老後の資産形成にも配慮した商品だ。
続いて、保険料が安いタイプの商品を見ると、チューリッヒは医療ではなくガン保険であることに注意。アフラックはオリックスよりも保険料では割高だが、医療保険に加えて死亡保障(50万円)と入院給付がなかった場合の健康ボーナスがついている。万一の際の葬式代に加えて「性格的に掛け捨ては好きではないのでは」と推測したようだ。
こうした提案に対して、フィナンシャルプランナー(FP)の和泉昭子氏は「年収の割には毎月の貯蓄額が高いことから、各社の提案には、年金タイプやファンドに積み立てていくタイプなど、貯蓄型のプランが多い」とみる。しかし、「一般的に保険商品は流動性が乏しいので、将来、結婚退職などで収入がなくなった際にも継続できる金額を設定するか、見直しのしやすい商品を選ぶのが無難」とアドバイスする。
FPの三輪鉄郎氏は「独身女性で実家に同居の場合、親の扶養をしている場合などを除き、死亡保障は基本的に不要」と言う。医療保障についても「将来もずっと独身という予定ならば、介護保障と併せて早いうちから準備したいところだが、この人のように30歳までには結婚する予定なら、入院時の費用は親から借りるという前提で、貯蓄を優先してもよいだろう」。さらに「医療保障は終身で用意したいが、女性の場合、結婚後に収入の変化がある場合も考えられるので、長く続けられるように、保険料負担は抑えておくべき」。
なお、医療保険の選び方について、和泉氏は「20代女性の保険金請求は女性特有の疾病によるものが多いので、入院日額5000円の医療保険に女性疾病特約を組み合わせたプランを基本に考えたい」としている。その点で「アフラックのプランは両者を組み合わせている」。さらに「保険料を抑えたいなら、女性疾病特約はつかないが、オリックスで最低限の保障を買うのも手。また、更新型のため将来保険料は上がるが、富国や明治安田のプランも悪くない」と和泉氏。なお、「実家暮らしの独身女性に死亡保障は不要と考えられるので、太陽、第一、住友のプランには首をかしげる」と疑問を投げかけている。
FPの塚野玲子氏は「この女性の死亡時の必要保障額は170万円程度」と試算。塚野氏が気にするのは死亡保険よりもむしろ結婚費用だ。「結婚にかかる費用は、新生活準備費用を含め約550万円。貯金50万円を除き、結婚相手と折半するとして250万円を貯めるのに月5万円の積立で4年以上かかる」。この女性の場合は、保険は最低限にして、貯蓄を優先するのが正解のようだ。