提案力を徹底比較! ケース別・おススメ生命保険◆20代編(全4ケース)
ケース3◆20代後半【27歳・男・独身】
半年後に結婚予定、子どもは2人欲しい
半年後に結婚を控えた幸せいっぱいの27歳男性、会社員。年収は380万円。賃貸住まいで家賃は月8万円だ。婚約者も会社員で年収は300万円。将来は、結婚後2~3年で持ち家を購入、子どもは2人欲しいなど夢は膨らむ。ただし貯蓄額は150万円しかなく、ちょっとした披露宴や新婚旅行で吹っ飛んでしまう。毎月の貯蓄もわずか4万円。結婚後の生活プランを充実させたいところだ。「ずぼらで人任せ」という性格の持ち主で、「保険料をどのくらい払ったらよいのか見当もつかない」という。ちなみに喫煙歴は7年だが、1年前の婚約者との出会いを機に禁煙中だ。
ここでも各社の提案には大きくバラツキが出た。日本生命は終身100万円、定期5440万円という提案。さらに3大疾病は200万円を最大5回の再発も含めて対応、入院・手術にも備えた充実のプラン。太陽も死亡保険金5200万円のプランを提案。独身者には高額すぎる気もするが、結婚予定や子ども2人というライフプランを見越した提案か。
一方で、富国が提案した死亡保障額は1000万円。「結婚後子どもが生まれたときなどに保障を見直すことを前提に、死亡保障は最低限に設定した」という。AIGスターは「死亡保障の必要性は最低限の水準」と言いつつも、提案した死亡保障額は3000万円と結構高い。損保ジャパンひまわりは「現在独身のため、医療保障のみで十分」と言い切る。アリコは死亡保障300万円の終身保険を提案するが「平均的な葬式代を終身保険でカバー」というのは、27歳男性への提案理由としてはやや説得力に欠けるかも。
さて、ここまでバラツキが出た各社の提案をフィナンシャルプランナー各氏はどう見たか。実はFPの間でも、前提条件についての見方が分かれた。和泉昭子氏は「結婚してDINKS」という夫婦共働き、子どもなしという前提。逆に塚野玲子氏は「現在の死亡保障必要額は、会社からの保障を考慮しなくとも約60万円と試算されるので加入を見合わせ、結婚時にあらためて必要な保障額を確認しては」と、加入自体が時期尚早との見方だ。
この違いは実は非常に重要だ。「ずぼらで人任せ」の性格では、販売員が自分のライフプランとまったく異なるプランを持ってきても、それに気づかずに加入した結果、後で「必要ない保険に入らされた」というクレームにつながりかねない。販売員と話し合う際には前提条件を誤解されないように留意すべきだ。
さて、共働き・子どもなしという前提で考えると、和泉氏は「保障額は妻の経済力によるが、2000万円もあればよいのでは」と見る。「保険料を抑えたければ、子どもが生まれるまでは最低限の死亡保障とし、子どもが増えるごとに保障額を見直していく方法がムダがない」として、数年置きに家族構成の変化があることを想定すれば、「損保ジャパンDIYの1年組み立て保険が有効」と言う。また、保障額を自在に見直せるという意味では、「(当面は不要の資金を自分の口座に積み立てておく)アカウント型の保険も便利で、明治安田のL.A.ダブルもリーズナブル」と和泉氏。「将来、子どもが生まれたり、妻が仕事を辞めた場合は、夫の保障額をアップする必要があるので、余裕があれば今から多めの額をアカウントに積み立て、将来に備えるのも一法」。ただし、子どもができた時点で見直すという考え方は、健康状態が悪くなった場合に増額が難しいというリスクも。その場合は、「アクサのライフプロデュースは変額タイプで、死亡保障額を毎年見直せ、無選択で増額できる点は魅力」(和泉氏)。
なお、「各社の死亡保障内容が過大」と考える塚野氏は「医療保障はオリックスの商品など保険料が割安なものを選び、しっかりライフイベント資金を貯めることが先決」とアドバイスしている。