赤字のカジノ事業で儲けたトランプの錬金術 先週NYタイムズでもっとも読まれた記事
「トランプは、うちの父のような普通の人々を踏み台にしてトップへとのし上がった」と、会社経営を引き継いだロッサーは言う。「トランプは(タージ建設などの)プロジェクトで働いていた数多くの人々のことなど一顧だにしなかった。米国を再び偉大な国にすると言っているが、過去を見ればまるで正反対だ」
トランプはカジノ運営会社を借金まみれにした自分の過失は認めているものの、自分のカジノはアトランティックシティで最も経営がうまく行っていたとの主張を変えようとはしない。
「ビジネスという視点から言えば、うちのカジノは非常にうまく行っている」と、トランプは2004年にプレイボーイ誌に語っている。「経営が順調なのは世間も認めるところだし、見たところもいいし客のうけもいい」
1997年以降からシェアは下降の一途
だが実際には、アトランティックシティのカジノ産業が斜陽化する前の10年間、トランプのカジノの売り上げは一貫してライバルを下回っていた。アトランティックシティのギャンブル市場におけるトランプ系カジノのシェアは最盛期には30%に達していたが、1997年以降、シェアは下落に転じた。
1997〜2002年にかけてアトランティックシティの他のカジノの売り上げは18%伸びたのに対し、トランプのカジノでは1%減少した。
「ボーガタ・ホテル・カジノ&スパ」がオープンした2003年には競争はさらに激化した。総工費11億ドル、40階建てのボーガタは、アトランティックシティの高級カジノのイメージを塗り替えた。トランプ系カジノの売り上げは、それから1年と少しの間にさらに6%減少した。