赤字のカジノ事業で儲けたトランプの錬金術 先週NYタイムズでもっとも読まれた記事

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せめて売り上げが他のカジノと同じ水準で伸びていれば、トランプのカジノ会社も利払いができたはずだし、黒字になった可能性もある。だが売り上げ減とコスト高のせいで、ホテルの客寄せには欠かせない改修やリフォームの費用もほとんど捻出できなかった。上場後、同社が黒字だった年は1年たりともなかった。

「いずれのプロジェクトもうまく行かないということは、何かおかしい点があるということだ」と語るのは、投資会社ジャニー・モンゴメリー・スコットのカジノ専門アナリスト、マービン・ロフマンだ。

トランプ・マリーナは3800万ドルで売却された。トランプのカジノ会社は1996年にトランプ個人からこの物件を買い取ったが、その際の金額の10%にも満たない額だった。トランプ・プラザは閉鎖された。それでもトランプはカジノからの「利益」を手にし続けていた。2011年にカジノ会社は、トランプから39万ドルでヘリコプターをリースしたほか、トランプの名前入り商品を23万6000ドルで仕入れていた。

投資家も金融機関もトランプにほれ込んだ

カジノ業界に長く身を置き、アトランティックシティのカジノの経営にも携わったこともあるデービッド・ハンロンは、トランプは投資家や金融関係者に「本当に価値があるのはトランプという名前だ」と思わせるのがうまかったと振り返る。

「みんなトランプにほれ込んで、2度3度と出資した」とハンロンは言う。「そして資産を奪われるに任せた。すごい光景だったし信じがたいものがあった。セレブとしてのイメージを何度となくうまく利用した点には脱帽だ」

かつてトランプの事業に出資した人々の中には、もはやそうした価値を認めない人もいる。

「みんな、ドナルド・トランプが会社からカネをむしり取る手腕を甘く見ていた」と語るのは、個人投資家のセバスティアン・ピニャテロだ。彼は一時、50万ドル相当以上のトランプのカジノ会社の株を保有していた「経営ミスと借金と私腹を肥やすことで、トランプは会社を破産に追い込んだ」。

(執筆:Russ Buettner記者、Charles V. Bagli記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2016 New York Times News Service
 

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