不払い残業の温床、「勤務外メール」の大問題 フランスの「つながらない権利」を日本にも

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「『労働時間』とは、『労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間』を意味します勤務時間外においても、メールなどを通じて上司が部下に対し指示を出したり命令したりして業務を行わせれば、それは勤務時間外の『労働時間』となります。

本来、労働者はそのような時間外労働の業務指示に従う義務はありませんが、やむを得ず従った場合には、使用者はその時間外労働に見合った残業代を支払う義務があります。

ただ、上司の命令の対応に対し、自宅などでどれだけの時間を費やしたとしても、その分に見合う残業代がきちんと支払われることは、現実にはほとんどないでしょう」

人事権の濫用・違法になるケースも

「上司がメールやラインで時間外に業務指示をすることは、際限のない長時間労働・不払い残業という違法状態の温床になります。

また、部下が時間外のメールやLINEへの確認・返信をしなかったことを理由に上司がその部下の人事評価を下げるなどということもあるのかもしれませんが、これは人事権を濫用するもので違法と言えるでしょう。

このように、時間外のメールやラインでの業務指示は、違法状態を生じさせるおそれが強いものです。長時間労働や自宅持ち帰り残業が横行する日本においても、フランスのような「つながらない権利」という考え方は大いに参考にすべきでしょう。

このような権利を保障し、自由な生活時間を確保していくためには、労働時間の上限規制を厳格に定める方向での労働基準法の改正とともに、時間外のメールやラインを規制する労使間の取り決めや行政による指導などの社会的な規制を進めていくことが必要だと思います」

今泉弁護士はこのように述べていた。

今泉 義竜(いまいずみ よしたつ)弁護士
2008年、弁護士登録。日本労働弁護団事務局次長。青年法律家協会修習生委員会事務局長。労働者側の労働事件、交通事故、離婚・相続、証券取引被害などの一般民事事件のほか、刑事事件、生活保護申請援助などに取り組む。首都圏青年ユニオン顧問弁護団、ブラック企業被害対策弁護団、B型肝炎訴訟の弁護団のメンバー。
事務所名:東京法律事務所

 

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