政府・日銀は長期金利の数字を無意味にした 金利ストラテジストの森田長太郎氏に聞く

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――大きな調整があったとき、日銀は鎮圧に動くのか。

ファンダメンタルズとの乖離の固定化は、市場機能の「低下」ではなく「封殺」だ。国の一機関としての日銀が金利を決め、そこに長期金利を収斂させるという話になれば、長期金利が市場化される1970年代以前に戻るのと同義になる。

発行の形態としては今までと同じように政府が長期国債を発行する建て付けになっているが、その大半が日銀に吸収されている。日銀が市場に供給しているのは当座預金なので短期資金。だから、長期金利が何の数字かわからない状態になっている。この形態は何を示しているのか。政府が長期債を発行して、長期金利を市場に供給する意味とは何だったのか。その根本的なところに差し掛かっている。

日銀が出ようとすれば国際市場を揺るがす

逆にいうと、出口戦略の論点は2つに絞られている。

一つは、政府の発行は日銀の買い入れによって実質的に短期化してしまっているので、市場への長期固定の金利は供給が絞られている。出口戦略は財務省の国債管理政策と一体化していないとうまくいかない。

もう一つは、長期債の金利を政府部門で吸収して、その代わり、投資家にほかのアセットを買うよう促していることの影響。大部分は外債や株式に向かっている。政治家は国債暴落に関心があるようだが、そちらは放っておいても、魅力ある金利水準になれば投資家は買う。だが、それとの引き替えで価格が押し上げられていた資産はどうなるか。世界の長期金利をハネ上げる可能性もある。

――15~16日の決定会合で、金利政策以外のETFの買い増しなどの可能性はありますか。

三次元緩和というフレームワークの中では、ETFの買い入れについて、現行の年3兆円に1兆円程度積み増すことは、当然あり得る選択肢だ。ただ、ETFに傾斜した緩和に踏み込むかというと、まだ確率は低いとみている。
 

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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