iPhoneが「空き容量対策」に熱を入れるワケ 最安値の16GBモデルの価値がグンと上昇
アップルは標準機能にサードパーティーアプリを組み合わせることによって、アプリの切り替えなしに、幹となる体験に集中できるような環境を整えようとしている。つまり、ホームボタンをダブルタップしてアプリを切り替えなくても、地図上からレストランを予約できるし、メッセージをやりとりしながら音楽やビデオが楽しめるようになるのだ。
これまで、アプリによってユーザー体験は分断されてきた。その結果が頻繁なアプリ切り替えとして表れていた。iOS 10では、体験をスムーズに継続するために、アプリの機能を一度分断して、他のアップル製アプリから呼び出せるようにした。
こうしたアプリの機能呼び出しを、サードパーティーアプリ間で許可するかどうかはまだわからないが、当面は、純正アプリで、その実装を磨いていくことになるだろう。
新興国ではスマホアプリ定着率が低い
幹となる体験をひとつのアプリの中で完結させるというアイデアは、先般グーグルが開発者会議「Google I/O 2016」で発表したメッセージアプリ「Allo」にも見られた。
Alloは、友人とのチャットに、人工知能であるGoogleアシスタントを呼び出せるようにし、たとえばレストランの候補をチャット内に表示したり、予約をチャットを通じて済ませるといったデモを披露していた(関連記事)。
「メッセージアプリ」と「外部機能の呼び出し」という2つの共通点は、フェイスブックにも見られる。アップル、グーグル、フェイスブックがメッセージアプリを体験の幹に据える理由は、新興国対策にある。
あるグローバルEC企業の役員に新興国の事情を聞くと、アプリの定着率の低さへの対策の必要性を指摘していた。
モバイル回線が細く、端末のストレージも小さなスマートフォンが主流の新興国においては、インストールしたアプリは使い終わるとすぐに削除するという行動が見られるという。そのため、アプリを入れてもらうためのキャンペーンや割り引きを打ち続けなければならない特有の事情を抱えている。
しかし、メッセージアプリであれば、日常的に友人とコミュニケーションを取り続けているため、ホーム画面のもっともいい場所に置き使い続けているものだ。フェイスブックがメッセンジャーを通じて企業が通販やサービスの提供を行う環境を整えているのも、新興国ではアプリが顧客との接点として高コストである、という事情が見え隠れする。
グーグルも、この問題については対策を発表している。
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