40歳のあの人は年金を一体いくらもらえるか 年収800万円でも月20万円にも達しない現実
だからこそ、早い段階から自分が将来受け取れる年金を知って老後の準備を始めることが重要になる。やり方は年金の不足分を補うものであれば人それぞれあってよい。では、いつから老後の準備を始めればよいのか。私は40歳が節目だと考えている。
四十にして惑わずというが
なぜ40歳なのか。東洋経済オンラインの主要読者の年齢層でもあるが、現在の日本の平均寿命は80~85歳。長めに見積もって90歳まで生きると仮定すると、65歳で退職し年金をもらい始めてから90歳で亡くなるまで25年ある。一方、40歳から65歳までも同じく25年。すなわち、40歳からスタートすれば年金をもらえる年数と同じだけの準備期間を設けることができるのである。
私事ではあるが、私も現在40歳。同世代の友人や知人は子育てであったり住宅ローンであったりと今まさにお金が必要で、自分の老後まで考えが及んでいない。私は事情を分かった上で少しずつでも準備を始めることを彼らに助言している。
実際に40歳の人はどれぐらいの年金をもらえるのか。試算してみよう。じつは年金額の試算は簡単だ。おおざっぱに言って、20歳から60歳までの間で年金保険料を納めた月数に約1600円を掛けた金額が基礎年金額、サラリーマンが就職から退職までの年収の合計に約0.5%を掛けた金額が厚生年金額である。
私の友人3人を例に将来年金をいくらもらえるか考えてみたい。断っておくが、年金額は現在の水準であり、将来はさらに下がる可能性がある。
私の10年来の友人であるBさん(40)は大手メーカーに勤めるエンジニアだ。都内にある国立大学の大学院を修了し、現在は商品開発において一線で活躍しながら後進の指導にもあたっている。一方でプライベートでは数年前に結婚した妻との間に2人の子供をもうけ、子煩悩なパパという一面を持つ。
そんなBさんも老後に不安を感じるようになった。相談を受け、私はBさんが将来もらえる年金額を試算した。現在のBさんの現在の年収は額面で約800万円。毎年誕生月に届いている「ねんきん定期便」に記載のある、これまでの実績に応じた老齢年金額を聞いてみたところ、老齢基礎年金は年間約38万円、老齢厚生年金は年間約50万円だった。
65歳まで現在の年収が続いたと仮定すると、試算の結果、65歳からの年金見込み額は現在の水準で年額210万~220万円となった。月額にすると約17万~18万円。大手企業で役職に就く人物であっても年金額は月20万円に及ばないのだ。
じつはBさんは将来の退職金をあてにしてつい最近マイホームを購入した。退職金を住宅ローン返済に充てたら老後の生活費が足りなくなる、そう気付いたBさんは退職までに住宅ローンを繰り上げ返済して退職金を老後の資金とすることにした。「今のうちに気付いてよかった、子育てもあるし大変だけど今のうちにお金を大事にするよ」とBさんから感謝のお言葉をいただいた。
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