舛添知事、逃げ道ふさがれ辞職へまっしぐら 参院選とのダブル選を避けて「9月辞職」か

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日本共産党からは、報告書は知事の言い分を鵜呑みにしたもので、裏付けの検証がないことが指摘された。また知事の公務として行った講演の実態が舛添政治経済研究所の事業の一環であり、立場と肩書きを利用したビジネスである疑いも提起された。民進党からも、調査報告書の正当性への疑義が出されている。

翌8日の一般質問では都議15人から次々と質問が飛び、舛添知事の立場はいっそう苦しくなった。各自が持つ時間は10分前後と短かったが、鋭い内容が舛添知事に突き刺さったからだ。

公明党・斉藤泰宏都議が感じた大きな疑問

「私に許されている時間は12分。その間にどのように鋭く知事に切り込むべきか、悩ましいところだ」

質問に立つ予定だった公明党の斉藤泰宏都議は7日夜、その心中を吐露している。知事のスキャンダルが発覚する以前から、6月の定例会で特別支援学校や難病者の就労支援について質問すべく準備してきた。知事の公私混同問題を追及すれば、これら本質的な質問を行う時間が必然的に短くなってしまう。「都民のための重要な施策が、知事のスキャンダルのために後回しになってはいけないという思いもある。だがいまは何より都民の信頼を回復させることを優先すべきだと思う」。

斉藤都議は大学時代に法曹の道を目指したこともあった。だからこそ、舛添知事の「第三者による調査報告書」に大きな疑問を感じていた。「舛添知事が選任した佐々木善三弁護士は、猪瀬直樹前知事の弁護人として、略式起訴を勝ち取った弁護士。小渕優子代議士の政治資金収支報告書虚偽記載問題でも第三者委員会の委員長として報告書を作成している。その内容を見ると、とても中立の立場に立っているとは思えない」。

小渕優子代議士の政治資金収支報告書虚偽記載問題とは、2014年10月に週刊新潮が後援会の観劇費用2600万円の未記載を報じたことをきっかけに、同氏の関連団体の収支報告書の繰越金額よりも実際の預金額が約1億円も少ないことが発覚した事件のことだ。

この事件の主犯は故・恵三氏の時代から地元事務所を牛耳っていた折田謙一郎前群馬県中之条町長で、2015年10月9日には政治資金規正法違反で東京地裁から禁固2年執行猶予3年の有罪判決を受けている。この事件の第三者委員会の委員長を務めたのが佐々木氏だが、10月19日に調査結果を公表した時の発言が問題視されたことがある。

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