帝国ホテルのチョコ、バカ売れの理由 椿山荘カレーやユネッサン入浴剤も人気

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1971年に「帝国ホテルの味をご家庭で」をコンセプトに開店したガルガンチュワは、「ホテル内店舗では売り上げ日本一」(池本氏)を誇る。焼きたてパンや手作りスイーツに加え、ホテル内のフレンチレストランの味にこだわったスープが1缶500円弱から購入できる。スープは缶詰の加工品だが、総料理長が子会社インペリアル・キッチンの工場に出向いて指導、秘伝のレシピを再現した。

価格でなく「上質なものを家庭でも」にこだわる

好調なホテルPBは帝国ホテルだけではない。藤田観光では、運営する椿山荘や大阪の太閤園など6施設にあるオリジナルカレーのレトルト商品が人気だ。60年前の開業当初から親しまれた椿山荘の「欧風カレー」に加え、太閤園の「網島ビーフカレー」、フォーシーズンズホテルの「ビストログリーンカレー」が各600円で購入できる。

椿山荘レストランの「欧風カレー」がレトルトで楽しめる

提携メーカー製だが、こちらも各施設のレストランの総料理長が工場で監修した。「オリジナルの欧風カレーをそのままレトルトにすると脂が浮いてしまうなどの欠点があるため、下処理を変えたりしている」(松山元信・企画グループ部長)。単なる模倣ではなく、口の中での味わいの再現にこだわっているのだ。

パッケージにもひと工夫あり、それぞれの施設のイメージを若手芸術家が絵で表している。「伝統文化と歴史を重視するグループの姿勢を芸術にも反映し、これからの日本を担う人材を発掘したい」(企画グループの柴田訓課長)。各施設では6種類すべてが購入できるが、当該施設ブランドのカレーが最も売れ行きが良い。

やはり「宿泊体験を家庭でもう一度」、あるいは「友人・知人にも感動を分けてあげたい」というニーズが多いのだろう。分量は160~180グラム程度のNB(ナショナルブランド=メーカー製の定番ブランド)品より多い220グラム。「親子で食べるのにちょうど良いサイズにした」(松山氏)。

箱根小涌園「ユネッサン」の各種風呂が体験できる入浴剤

また、藤田観光が運営する箱根小涌園では、温浴施設「ユネッサン」の変わり種風呂を家庭で体験できる入浴剤も販売している。露天ワイン風呂、本格コーヒー風呂、酒風呂、ラーメン風呂など、NB品ではまず商品化されないだろう。レトルトカレー、入浴剤とも、ネット通販でも購入が可能だ。

ホテルブランドのPBの最大の特徴は「価格より質」。NBの真似はせず、スーパーやコンビニのPBより割高なのは、上質の素材にこだわり、原価も高いため。施設でのおもてなしに匹敵する味へのこだわりが、ホテルPBへの信頼と支持を支えている。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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