「JR中央線」はどの区間で儲かっているのか JR東日本・北海道の路線営業係数を独自試算
営業係数の試算に当たり、同社の決算書内の項目で鉄道事業での収入と見なした項目は685億円の旅客運輸収入、そしてその他の費用83億円を合わせて768億円で、関連事業収入の69億円は含まない。営業係数の算出にあたり、旅客運輸収入は旅客人キロの比、その他の収入は営業キロの比でそれぞれ分配した。
一方、鉄道事業での費用と見なした項目のうち、営業係数の算出に当たって旅客人キロの比で分配した項目は51億円の動力費と314億円の修繕費との計365億円だ。営業キロの比で分配した項目は476億円の人件費、31億円の諸税、183億円の減価償却費、その他の費用の228億円の計918億円である。
合わせて費用は1283億円となるはずだが、関連事業に関する費用も含まれているのでその分を差し引いておかなければならない。この金額は非公表であるので、同社が国土交通省に報告した2013年度の実績から推測すると41億円となる。したがって営業キロの比で分配する金額は877億円、費用の合計は1242億円で、474億円の営業損失が発生したと見なした。
市街地でも営業係数300台が
試算の結果は表のとおりだ。注目すべきは千歳線沼ノ端-白石間・室蘭線苫小牧-沼ノ端間の65・8、函館線小樽-札幌間の65・9、同札幌-岩見沢間の66・2と60台の区間が3つ存在するという点である。JR北海道によれば2014年度の営業実績では営業利益が生じた路線は一つもないという。しかし、いずれも4万人台とJR東日本の上越新幹線並みの平均通過数量(年間の旅客人キロ÷年間の営業キロ)を挙げている点を考慮すれば、営業損失が発生するほうが不思議でならない。
営業係数の悪い路線、区間のうち、意外性が高いのは室蘭線の枝線となる東室蘭-室蘭間の349・7である。もちろん、300台の営業係数が生じた点については理由があり、平均通過数量が1366とそう多くないからだ。JR北海道でいうと1366という平均通過数量は富良野線全線の1477と石北線上川-網走間の1061との間に位置する。
ちなみに東室蘭-室蘭間は室蘭市の市街地を通っており、北海道というとイメージされる無人の原野ではない。それどころか全区間が交流で電化されており、しかもすべて複線である。このような区間では100未満またはせめて100台の営業係数を計上してJR北海道の経営を支えてほしいところだが、逆に足を引っ張る形となっている。同社の窮状ぶりを示す象徴的な区間と言ってよいかもしれない。
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