サミットの成果は、首相が自らひねり出した 見えてきた2本立ての経済対策
また、同じく31日には、産業競争力会議が19日に素案をまとめた、成長戦略も閣議決定される見通しだ。こちらでは、フィンテック、人工知能、自動運転、ドローンといった、成長が期待できる分野の支援など、個別産業にかかわるものが多く含まれている。この骨太の方針と成長戦略は、密接に関係しており、これらがまず1つ目の政策の塊だ。
もう一つは、6月1日、サミットを受けた形での経済政策が発表されると見込まれることだ。ここで、消費増税を再延期する、あるいは第二次補正予算の金額や方向性を概ねどのようなものにする、といった大枠が打ち出されるだろう。別の注目点として、衆院解散を行なうのであれば、6月1日の国会会期末が最終期限となる。
ただ、市場においては、消費増税を予定通り行うと考えている投資家はほとんどいないし、経済対策が何も出てこないと見込んでいる投資家もいない。述べてきたような景気対策が打ち出されることは、出ないよりは経済にプラスだろうが、一気に景気を躍進させ、株価を爆発的に押し上げるような経済対策は、ない。
良く言えば、地に足ついた相場展開に
国内株価は、経済対策をみて期待先行で一気に走る、というより、対策の長期的な効果も含めて、最終的にマクロ経済や個々の企業業績がどうなるのかをじっくり見極めながら、そろりそろりと進んでいく展開が続くだろう。期待より現実、悪く言えば懐疑的で、良く言えば地に足が着いた、相場展開が見込まれる。
特に、「期待」「夢」といった言葉が飛び交うことが常となってきたマザーズ市場においては、アキュセラやそーせいグループといった銘柄の株価が潰れてきており、思惑に賭けるといった個人投資家の心意気に、冷水が浴びせられた状況だ。銘柄選びで、専門家からあーせい、こーせいと言われても、個人投資家の物色意欲は盛り上がりにくい。市場心理には慎重さが勝り、出来高が盛り上がらないなか、株価は、しばらくは動きの乏しいことになりそうだ。
今週の展望を考えよう。6月3日(金)には、米国で5月分の雇用統計の発表が控えている。この週末の雇用統計への注目度は、日頃以上に高まるだろう。というのは、5月27日(金)にイエレン連銀議長が「米経済は改善しており、数カ月内に利上げするのが適切だろう」と述べたこともあって、6月14日(火)~15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、利上げがあるかどうかについて、世界の株式市場や為替市場の関心が一段と高まってきているからだ。このため、「様子見屋さん」が様子見材料を仕入れるには、事欠かない状況だ。
国内株価の基調としては、経済対策の発表や株価水準全般の割安さもあって、上昇方向を予想するが、そのなかで今週の日経平均は、様子見気分が強く、出来高を伴う急伸は難しいと考える。具体的なレンジとして1万6700円~1万7300円を予想する。
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