シェールガス革命がもたらした米国の独走 日本向けLNG価格は下がるか

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北米LNGのアジア向け出荷は16年以降

さて、冒頭の議論、「アジア向けLNG価格がJCC(日本の通関統計原油価格)にリンクすることに合理性があるか」との問いに対する答えだが、ここでは今後における、研究者や業界内での議論と実践にゆだねたい。

透明性のあるハブ価格を持たないアジアでは、東京、上海、シンガポールそれぞれで市場の形成が試みられている。東京においても本年11月よりLNGの先物市場の創設についての協議会が立ち上げられ、集中した議論が始まっている。

3極化したマーケットの中にあって、均衡化のカギを握る北米のHHベースLNGのアジア向け出荷開始は、早くても16年以降の話である。インド、中国が牽引するアジアでのガス需要は堅調に伸びると予想される中、北米で起こったようなシェールガス革命が中国でも起きるのだろうか。

IEAの最新予測によれば、少なくとも米国は20年までにガスのネット輸出国となり、非在来型オイルの生産も加わって、35年までにはエネルギーの自給自足が可能となるとしている。革命はいまだ進行中であり、地球規模でのエネルギーフローの変化が起きつつある。

エネルギーを取り巻く変化は、ますます急激で予測困難となってきている。LNG業界の一端を担う本邦プレーヤーの一員として、LNGの発展に少しでも寄与できれば、と願う日々が続いている。

 

 

木村 達三郎 エルエヌジージャパン副社長

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きむら たつさぶろう / Tatsusaburo Kimura

1956年、千葉県生まれ。1978年住友商事入社。1990年、湾岸危機勃発時にイエメン、1998年、米軍のイラク空爆時にクウェートに駐在、中東を皮切りに駐在経験を積む。LNG事業ではカタール、インドネシアでのプロジェクトを手掛ける。2008年より、ロンドンに駐在、石油開発生産事業、石油・ガス上流権益取得、M&Aなど石油上流事業に幅広く関わり本年5月に帰国。現在は、住友商事と双日の合弁会社であるエルエヌジージャパン株式会社 代表取締役副社長。

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