株価がむしろ持ち直し始めている2つの理由 懸念も行き着くところに行けば反転に向かう

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このため、12日(木)の株式市場においては、トヨタ株のみならず、輸出株を中心として全般に売り込まれる、との懸念も聞こえていたが、日経平均は前日比小幅プラスで引け、底固さをみせた。

もちろん、足元の企業収益が不振だ、ということ自体は株価の好材料ではありえないが、その懸念は相当市場で取り沙汰されてきた。2016年度の企業収益は、前年比で減益だろうとの観測が有力であったように。これに対し、日本経済新聞社の集計によれば、13日(金)までに決算発表を終えた3月決算企業1463社の合計(金融と電力を除く)では、企業側が見込む連結経常利益は前年比3%増と、小幅ながら増えると報じられている。

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また、証券会社のアナリストの収益予想については、野村証券のリビジョンインデックス(アナリストの利益の上方修正と下方修正の度合いを示す)は、3月末でマイナス25.6%と、大幅なマイナスとなっている(昨年12月末は、マイナス4.3%、その前はプラス)(リビジョンインデックスについては、拙著「勝率9割の投資セオリーは存在するか」でも解説している)。

このマイナス25.6%という数字は、予想修正が行なわれなかった銘柄が無いとして、上方修正と下方修正が1対2(マイナス33.3%)と2対3(マイナス20%)の間くらい、ということになる。すなわち、だいぶ前から、アナリストの収益見通しの下方修正も、相当進んでしまったと言える。さらに、足元の決算発表で公表された、企業側の慎重な収益見通しに沿って、証券会社等のアナリストが最後の下方修正をやりつくす、という展開も否定できない。

つまり、市場の収益懸念や、アナリスト予想の下方修正も、いっぱいのところまで進んでしまえば、あとは反転するしかないのだろう。

引き潮はいずれ満ち、新月は膨らむ

藤原道長は、「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と詠んだが、いつまでも欠けない望月はない。だから満月になる前の、十四番目の月が一番好きだ、とユーミンも歌ったわけだが、逆に新月はそのあと膨らみを増すわけだ。引き潮も、そのあとはいずれ満ちてくる。

寄せては返す波のように、国内株価も、円相場が、企業収益が、政府の経済対策が、日銀の金融政策が、海外経済・市場がと、上下に振れ続けることになるだろう。先週末13日は米国株価が一部小売企業の決算を嫌気して下落したため、それを受けて今週の滑り出しは、日経平均株価は下押ししてのスタートとなりそうだ。

しかし大きな潮の流れは、三番目に暗いところを通過した現在、当面は明るさを増してくるものと考えている。そうしたなかで、今週(16日~20日)の日経平均株価は1万6200~1万7000円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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