今、時代は人類共通の幸せを目指していくのとは、正反対の方に向かっているように思える。全世界の、人類共通の正義というのは、現実と照らし合わせてしまうと多分ない。ますます無理になってきている気がしてなりません。
しかし、これは僕の持論なんですが、映画のようなエンターテイメントは、現実と照らし合わせた時に、たとえ「そんなことありえない」「それはしょせん理想だ」と言われたとしても、われわれは物語の中でそれを追い求めるべきものなんじゃないかと。
観客が現実社会で考えてくれるきっかけになるようなものを描き続けなければいけない。それがエンターテイメントの使命ではないかと思う。映画は100年の歴史しかないですが、そうした使命を帯びて描かれてきたと僕は思っています。
――神山監督が考える石ノ森先生の正義・ヒーロー像は?
特に僕らの世代は、石ノ森先生の作品を知らず知らずのうちに浴びている。今回、脚本を書き始めてみて、石ノ森先生が描いてきたヒーロー像が、思っていた以上に自分の中にすり込まれていたんだなと感じました。
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