韓国窃盗ビジネスを追え 

菅野朋子著

韓国在住の日本人ジャーナリストが7年追いかけた題材は、日本の寺から盗まれた重要文化財(重文)の行方。具体的には「高麗版大般若経」と「阿弥陀三尊像」で、韓国で仏教文化が栄えた高麗時代のものだ。日本にある朝鮮半島由来の古美術品は、倭寇や秀吉の朝鮮出兵などで略奪されたものと見られがちで、韓国人の間では「もともとはわれわれのもの」「本国に戻ってくることは正当」という意識が根強い。

果敢に取材を積み重ねていく著者が、キーマンの窃盗犯にたどり着くさまは読み応え十分。そのキーマン、「食べていくためにこの仕事をやり始めた。腹が膨れてくれば名分が立ち、名分が立ってくると、使命感が湧いてきた」と話している。盗まれた古美術品は、複数の人物の間で売買が繰り返され、時効成立を待って本格的な取引が始まるとされる。日本で盗まれて行方がわからない重文は、把握されたものだけで580点あるとか。闇は深い。

新潮社 1470円

  

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