初公開!私鉄の「駅待合室」設置率ランキング 乗客の利便性測る新指標、トップは京王電鉄
3位は近畿日本鉄道(近鉄)の72.8%である。設置駅数で比較すれば、大手私鉄トップの214駅。近鉄は大手私鉄最長の508.1kmの路線長を誇り、駅数も294駅と大手私鉄の中で最多である。それにかかわらず、高い水準で待合室を設けていることは特筆に値する。
4位は、小田急電鉄(小田急)の67.1%で、新宿~代々木上原や他社線との連絡駅など以外の47駅に設けられている。小田急は、東京都内でも多くの駅で待合室を設置している鉄道だ。なお、今回の調査では筆者が鉄道各社に質問メールを送付してまとめたが、その中で小田急は送付翌日に回答を寄せてきた。他の鉄道会社と比べて群を抜いて返信が早く、顧客へのサービス意識の高さを感じさせるのに十分であることも付け加えておく。なお、小田急は忘れ物を引き取りに行く際の運賃を無料にしている。
逆に、待合室設置率が最も低いのは、京成電鉄(京成)でわずか4駅、5.8%にすぎない。なお4駅のほかに、北総鉄道の管轄駅である、京成成田空港線の東松戸、新鎌ヶ谷、千葉ニュータウン中央、印旛日本医大の各駅ホームには、待合室が設置されている。
次に設置率が低いのは、京浜急行電鉄(京急)の8駅、11.0%に留まる。京急の待合室設置駅のうち7駅が東京都内にある。京急は関東の大手私鉄では唯一無料の転換クロスシート車両を用意し、着席保証列車「ウィング号」を運行するなど、座れる列車との定評がある。しかし、待合室設置には熱心とは言えない結果となった。
3番目に低いのは、東武鉄道(東武)の26駅、12.8%である。東武は関東地方で最長の463.3km、203駅を抱えるという点で不利なものの、駅数が約半分の西武鉄道の設置駅数40にも達していない。また、東京都内の駅への設置は伊勢崎線の2駅に留まる。
待合室設置率に見るサービス意識
待合室設置率からは、鉄道各社の顧客へのサービス意識を推し量ることができる。設置率トップとなった京王は、『安全・社会・環境報告書 2015 CSRレポート』の中でも待合室設置について言及している。
京王電鉄広報部は「京王グループは、沿線が将来にわたり活力を維持し、多世代にとって暮らしやすく魅力的な街となるよう沿線づくりを進めている。電車が到着するまでの間、お客様に快適にお待ちいただける待合室の設置などの快適性の向上は『住んでもらえる、選んでもらえる沿線』につながると考えている」と述べ、待合室を沿線の魅力向上のための施設ととらえ、将来的な鉄道の乗車人員向上につながるものと考えている。
京王は顧客を重要なステークホルダーととらえ、顧客の快適性向上をCSR(企業の社会的責任)の重要施策に位置付けている。待合室の設置はそのための重要施設であり、CSRそのものであると認識していることがわかる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら