留学で「人生棒に振る人」が陥る3つの勘違い 帰国後に職がない!社会人留学の「あるある」

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Yさんは帰国後、早速就職活動に入ります。現地で学んだマーケティングの知識と経験をフルに生かすべく、外資系大企業に絞って積極的に応募していきますが、思いの外、苦戦を強いられたと話します。

転職エージェントからは大企業に限らず中小企業にも範囲を広げることをアドバイスされますが、プライドが邪魔をして受け入れることが出来ませんでした。結局、帰国後2年間もニート生活が続き、父親の紹介で病院に再就職することにしました。

このように、高学歴であるがゆえに就職に苦労するケースも増えています。筆者も外資系企業で採用面接を担当したことがありますが、海外の大学・大学院を卒業し、履歴書は完璧でも、実際面接で会ってみると「一緒に仕事しにくそう」という方が非常に多かったのを覚えています。知識やスキルは申し分なくても、プライドが高く、柔軟性や協調性に欠ける印象でした。

「自分さがし留学」はSNS映えするけど、大丈夫?

もちろん、努力で勝ち得てきた学歴・実績は何にも変えがたいものですし、無意味だと言っているのではありません。ですがそれ以上に、根本的に重要なことがあります。仕事をする中では、突発的な事象や理不尽なことに遭遇しますが、そんなとき、この人となら一緒に乗り越えられそうだと感じられれるかどうか。その点が備わっていれば、Yさんの結果も違ってきたはずです。

以上、社会人の失敗事例を見ていきましたが、これらの事例から学ぶ成功のポイントは、次の3つです。

目標や適性に合った渡航先・学校を選定する(ビザの種類も重要)

現地および帰国後の目標を明確にする(でないと人生に迷います!)

留学経験は「最大の武器」ではなく「プラスアルファ」として使う(社会人は経験重視)

最近は「自分さがし」と称して、生き方を模索する目的で海外に出る人も増えてきました。インスタグラムなどのSNSを通すと、彼らの選択は一見カッコよく見えてしまうのですが、「旅」と「留学」は全然違いますので、注意が必要です。

2回にわたり、留学のネガティブな面を掘り下げてきましたが、もちろん、留学をきっかけに飛躍を遂げた方も多くいます。次回は、そんな方々の「留学を大成功に導いたエレメント」を紹介する予定ですので、引き続きご期待ください!

前回記事:留学「行けばなんとかなる」思考が招く大失敗

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大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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