GDPは連続マイナスの公算、それでも鈍い政府 大規模な対策を求める民間との間に温度差

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さらに1─3月期の外需は、輸出よりも輸入の伸びが上回り、外需寄与度はマイナスと予想されている。景気のけん引役は見当たらず、1─3月期のマイナス成長を予想する声も民間エコノミストの中で広がりをみせている。

4─6月期についても、前期比ゼロ近辺の成長にとどまりそうだとの予想が、民間シンクタンクの間で増える傾向にある。

経済産業省は4月生産について、熊本地震の影響によるサプライチェーンへの打撃で、前月比マイナスに落ち込む公算が大きいとしている。

また、同省関係者は「地震の影響を除いても、生産の実勢は強くない」とし、生産回復が遅れる可能性が高まっている。

さらに個人消費は、雇用情勢が強い割に4割近くが非正規雇用者となっている現状や、将来の社会保障不安などを背景に、明確な心理改善が進みそうもないとの見通しも多くなっている。

経済対策の規模・中身、詰めはこれから

だが、景気の停滞感が強まっているのとは対照的に、政府の具体的な経済対策の規模や目玉政策は、まだ固まっていないもようだ。

複数の政府関係者は、対策の規模は全く決まっていないと口をそろえる。熊本地震の復旧対応で2016年度補正予算が5月中に成立する方向となっているが、景気浮揚を図るのは、その後に編成が予想される16年度の2次補正予算ということになる。

また、消費増税を予定通りに2017年4月から実施するかどうかの判断次第で、2次補正や経済対策全体の規模が変動する。

ただ、安倍晋三首相が消費増税の判断を明らかにしていない現状で、経済対策の規模や中身を話題にすること自体、政府内ではばかるムードもあるという。

対照的に民間エコノミストの間では、景気後退リスクへの対応を念頭に経済対策の大規模化が進むとの予想が広がっている。「消費増税延期と10兆円規模の経済対策の組み合わせもありえる」(JPモルガン証券・チーフエコノミスト、菅野雅明氏)との声や「消費増税の是非は長期的な財政判断もあるとはいえ、経済対策については大規模に実施せざるをえない情勢だ」(みずほ証券の末廣氏)との見方が浮上している。

 

(中川泉 編集:田巻一彦)

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