ガス輸入後の流通・インフラに大きな課題

米国シェール革命と日本 《4》


--米国側の対日輸出規制については。

われわれは、米国政府によるシェールガスなどの対日輸出許可については、大きな障害にはならないだろうと見ている。ただ、現在は、米国内ガス価格が非常に安いので米国にとって輸出のメリットがあるものの、今後、米国内ガス価格が上がってくれば、日本向けの輸出に魅力がなくなる可能性もある。そのため、日本向けに入ってくる量が十分に確保できなくなるおそれは否定できない。

■輸入コストや発電コストで新たな負担も

--日本に入ってくるLNGの価格がどうなるかが重要ですね。

現在の米国内のガス価格(ヘンリー・ハブ価格)が3ドル前後(100万英国熱量単位ベース)というのは、安すぎるといえる。ただ、たとえ7ドルまで上がったとしても、液化、輸送コストを入れて12~13ドル程度と見積もられる。そのため、現状の日本国内の価格17~18ドルと比べれば、十分競争力がある状況だ。

米国産ガスを導入することにより、米国外からの輸入価格が下がり、全体を押し下げる効果が期待できる。調達先の選択肢を増やすという点でも価格交渉のうえで意義は大きい。

ただ、シェールガスを燃料として使う場合、新たなコストが発生する可能性もある。たとえば、タンク内に、比重の異なるシェールガスと普通の天然ガスを混ぜて貯蔵しても大丈夫か、といった技術的な課題もハードルとしてある。また、発電に使う場合には、在来ガスよりも熱量が低いため同じ電気出力を得るのに多くのガスを流すことになり、各種設備がそうした設計になっているのかどうかのチェックも要る。場合によっては設備増強が必要になり、その場合には当然、余計なコストがかかる。

--日本に荷揚げしてからの問題が大きい。日本のパイプラインの問題もそうか。

東京ガスなど各大手ガス会社の営業エリアについては導管が網の目状に整備されているが、各営業エリアをつなぐ幹線パイプラインが、日本の場合は貧弱であり、エリア間の融通が融通が利きにくい。そのため、米国から安いガスを輸入しても、工場などの需要先にちゃんと販売できるかという課題がある。

ガス会社や、いわゆるサードパーティ(第三者)を含め、幹線パイプラインを安く利用できなければ、広域的なガス利用が進まない。また、国内に大きなガス田を持たない日本では需要に応じてインフラを整備してきており、その点でも欧米のガスインフラとは大きく状況が異なる。ガスインフラの整備が不十分な中では、米国から輸入しても大きな意味を持たないということになる。

 

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