ガス輸入後の流通・インフラに大きな課題

米国シェール革命と日本 《4》


現在、日本政府は将来のエネルギーミックスの予測において、天然ガスの割合が急拡大していく絵を描いている。ただ、国内で大量に供給できるだけのインフラが整っているかとなると、まだまだ立ち遅れているのが現実だ。インフラを整備するにしても、(政府や事業会社など)誰がコストを賄うかという議論もある。そもそもガス一辺倒というわけにもいかないので、ほかのエネルギー源とのバランスも見なければいけない。

インフラという観点では、東京湾のキャパシティの問題もある。

--LNGのタンカーの問題ですか。

現状では物理的な支障はないようだが、今後タンカーが増えてくるとすれば、東京周辺のLNG受入基地に入る際に、東京湾の入り口が狭いために待機するタンカーの渋滞が激しくなるだろう。受入基地が東京湾内に偏在しているということが大きなネックと考えられる。

■まずはエネルギー政策の方向性確立が重要

--政府のエネルギー政策も不透明感が強い。

今は原発が止まって天然ガスの需要が急増し、日本向けの価格も上昇している。それでガスへの投資意欲も高まっている。しかし今後、原発が再稼働すれば、ガスの需要は思ったほど伸びなくなる。長期的にも原子力をどうするかによって、ガスの需要が変わる。それがガスの開発、販売会社にとっては大きなリスクとなるだけに、政府がエネルギー政策をどう固めるかは非常に重要といえる。

日本は海に囲まれ、国内資源もなく、電気もすべて国内でつくらなければならないという、エネルギー安保上、非常に厳しい環境に置かれている。そうした国の政策がブレると、それによるリスクを吸収してくれるバッファーが周囲にないため、すべて国民や事業者が犠牲を払わなければならないということになる。

--シェールガスに限らず、天然ガス全体での今後の注目点は。

ロシアのエネルギー資源がどう流れていくか、ロシアと中国の関係がどうなるか、中国の需要の変動が日本にどう影響を与えるかに、特に注目している。中国の需要自体が伸びることは明らかだが、ロシアからパイプラインでどれだけ入ってくるか、LNGとしてどれだけ輸入するかによって日本の輸入価格にも影響が出る(現状ではロシアからのパイプライン経由の輸入は価格面で折り合いがついていない)。

LNGとしての中国の輸入量が増えれば、LNGの需給が逼迫して、日本は一段と高いLNGを買わされるということになりかねない。また、海外からの日本へのパイプライン構想もあるが、LNG輸入のメリット・デメリットを相互に補完しあうかどうか、という点が重要だろう。

(中村 稔 =東洋経済オンライン)

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